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「追試９月８日からか…」
「あんた凄いわ・・・」
.
１週間のテスト期間の最終日、
最後の科目の試験が終わった後、
仁は掲示板を眺めてそうつぶやいた。
.
「あ？なにが、」
「・・・や、追試ならないといいね、」
「おう、」
.
じゃあ、この日はバイト公休だなー
とか、この人、もうすでに追試受ける気満々だ。
.
たぶん大丈夫だと思うけどなあ、
と私の数歩先を歩く仁の背中を眺めて、そんなことを思った。
容量が悪いのと、サボリ癖が抜けないのが玉に瑕だけど、
真面目にやれば、その成果がすぐに出ることを知っている。
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明日から、夏休みだ。
高校より、もっと長く与えられる、
何も縛られるものがない、自由な時間。
.
「追試終わったらさあ、」
「んー？」
「帰ってくるわ、」
「……うん、」
.
大学の門を出て
隣に並んで駅までの道を歩く。
.
不意にそんな言葉を掛けられて、
私のために言ってくれていると分かっているのに、
そんな返事しかできない。
.
「気が向いたら言えよ、一緒に行こうぜ、」
「おそらく、向かないと思う」
「一応！建前で誘ってんだから！！」
「あー、はいはい。アリガトウ、」
.
ひらひら、と手を振って
私は右の路地に入る。
またねー、と言葉を掛けると仁もそれに応じてくれる。
ぐだぐだ、と話を伸ばさない所が、大好きだ。
.
バイト頑張れよー、と背を向けた私に
後ろから声がかけられて、
これには「ありがとう、」と素直に返事をした。
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