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「はい、先生！」
「…なんですか、」
「持ち込み不可の筆記ってどれ？
レポートよりそっち先決だろ！」
「あんたはね、」
.
テスト２週間前、
大学の近くのカフェで、勉強中。
本当は、図書館に行きたかったんだけど、
この時期の図書館は、夏休み前の高校生やらでいっぱいで、
どこも勉強できそうにない。
.
勉強道具の傍ら、
少し高めのドリンクを置いて、
仁とテスト勉強の真っ最中だった。
.
鞄の中から講義でもらった資料を取り出して、
たぶん、大事な部分だったんだろう、
蛍光ペンでラインが引いてある部分を読む。
分からない単語はその場で調べる。
目の前の仁は、ノートを写すことに取りあえずは専念することにしたらしい。
.
「なー、」
「んー？」
「俺さあ…」
「んー」
「苗字変わるかも、」
「……ふーん、」
.
サラリ、とそんなことを言った仁に、
驚かなかったわけではない。
ただ、一瞬でいろいろなものが頭の中を駆け巡って、
最終的に出た言葉が、あまりに興味なさそうなそれだっただけで。
.
「まじ、今更何なんなんだ、ってハナシだよな、」
「そだね、」
「興味なさそうだなー、お前(笑)」
.
自分も、たいして興味ないくせに、
私を見て、仁がクスクスと笑った。
.
「何になるの？苗字、」
「食いつくとこそこかよ(笑)」
.
私、さあ。
仁のこと、誰よりもよく分かるんだよね。
.
何年、ずっと隣にいたと思ってるの。
見縊(みくび)って貰っちゃ、困るんだよ。
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