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「わーい、美味しそう」
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テーブルの上に置かれた赤いイチゴの乗ったショートケーキ。
あぁ、大野さんに、おねだりしてたのにな。
その時は、違うケーキにしてもらおうかな。
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ショーケースに並ぶ、色鮮やかなそれらを眺めながら、
そんなことを考える。
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目の前に座る仁は、
基礎統計学の授業のノートを写してる。
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真っ赤なイチゴを、一番最初に口の中に入れる。
それを見ていた仁が、最初に食うの？と聞く。
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「大事なものは、」
「…」
「いつ失くなるか、分からないからね、」
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その言葉に、仁は
「そんなに苺好きなのかよ、」と笑ったけど。
本当は、分かってるって分かるんだ。
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「あれー？仁じゃん？」
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目の前の彼に向けられた言葉に、
咄嗟にフォークでスポンジを刺した。
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「お疲れ様です、二宮さん！」
「おー、お疲れー…なに、デート？」
「……に、見えますか？」
「見えるから言ってる(笑)」
.
くく、とその人は笑って、
目線を仁から私に移した。
.
「こんにちは、」
「こんにちは…」
.
人懐っこい笑顔で笑った色白のその人は、
二宮和也と言った。
仁の、知り合い。
仁の上辺だけを、知ってる人。
.
仮面を被って、にっこり笑う。
よろしくお願いします、って。
そんなの、得意。
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