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その声に思わず振り向くと、"花の姫"はいつの間にかこちらを向いて、俺を見つめていた。
「あ、......と、、....」
なんて言えばいいのか、頭が回らない。
にこにこと微笑まれるせいで、無駄に心臓が煩くて。
「キミ、E組の八乙女光くんでしょう?」
「なんで、、」
「すごく整った顔だから、覚えちゃった」
クスクスと笑って、ゆっくり瞬きをする。
笑っただけで、やっぱり彼の纏う雰囲気に花が咲いた。
「ねぇ、八乙女くん覗きが趣味なの?」
「は、、?」
「だって、さっき見てたよね、そこから」
布団から出た指が入口のドアを指す。
ドキンっと心臓が鳴って思わず俯いてしまった。
「別に無理矢理されてた、とかじゃないから勘違いしないでよ?」
「......う、ん、、...」
じーっと眠そうなタレ目で見つめられる。
目を逸らしづらくて今二人の視線が絡んでいる状態。
どう、しよう、。
「...知りたい?これがなんであるのか」
ふ、と笑ってトントン、と腰を叩いた。
やっぱり、焼印なんだ。あんなくっきり、綺麗に、、
......痛々しく見えてしまう。
「知りたそうな顔してるねぇ...。八乙女くん、喋れないの?」
「っ、喋れる、よ、...別に、知りたいとは思わないからっ、、...」
「そう...。」
表情を失くしたと思ったら、ゆっくりと起き上がった。
こちらをくるりと向いて、にこっと笑った。
「腰だけじゃ、無いんだよね」
そう言って、着ていたシャツを脱いだ。
そして、俺はまた目を見開いた。
「なんで、......」
「やっぱ気になるんだ?」
露わになった腕、お腹、白い胸。
その、右胸の横に、腰のものと同じような形の花の焼印が。
濃く、しっかりと肌に焼き付いたそれは、綺麗に咲き誇っていた。
「こっち来て、八乙女くん」
手招きをされるがままに、ふらりと寄る。
普段目にすることなんてない"焼印"がショックだったのか。
それとも、皆が言う"花の姫"が普通じゃないと分かってショックなのか。
自分では分からない、分からないけど。
「....八乙女くん積極的だね」
細い手首を掴んで、ドサリとベッドに押し倒して上から見下ろす。
あぁそうか。
きっと、勝手に抱いていた"花の姫"のイメージを崩されたから。
だから俺、今とんでもないことを考えているんだ。
「ねぇ、....名前で呼んでいい?」
「っ、」
ふ、と目を細めて笑って、ゆっくりと唇を動かす。
「ひかる」
パリン、と音を立てて崩れた俺の理性。
その唇に、自分のものを無理矢理重ねた。
fin.
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mapii(プロフ) - ななこさん» ななこさんありがとうございます♪感情移入してもらえるお話がかけて満足です(*^^*)とても切ないお話になってしまいました...。続篇ありますので、よければ覗いて見てくださいね (2018年6月17日 22時) (レス) id: bd8e1618ab (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - カクシゴト、カクサレゴト切なすぎます〜〜(;_;)特に光さんが……いのちゃん守りたかっただけのに…何でこうなってしまったんだ…ていう気持ちになりました。光さんに感情移入してしまいました。 (2018年6月13日 17時) (レス) id: 3aa19a7d29 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - いつの間にかファンになっていました、いつも楽しく読ませていただいてます!更新されたせかいでいちばんなのですが、誰の曲を元に作った話なのですか?とてもキュンとしました!これからも楽しませてください! (2018年5月6日 0時) (レス) id: f1b28b9ed0 (このIDを非表示/違反報告)
mapii(プロフ) - 白米プリンスさん» 白米プリンスさん、いつもありがとうございます(´▽`*)素敵ですよね、感謝です...。一度駆け落ちって使ってみたくて、こうなりました(´>∀<`)ゝこれからもよろしくお願いします^^* (2018年4月7日 11時) (レス) id: bd8e1618ab (このIDを非表示/違反報告)
白米プリンス(プロフ) - 待ってました(^^)mapii様の短編集…!タイトルもとても素敵ですね(*^^*)駆け落ち…良い響きです笑全てを失ってでも雄也君が欲しい慧ちゃんが好きです…! (2018年4月6日 15時) (レス) id: 8c7dfe77a3 (このIDを非表示/違反報告)
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