【葵彼岸龍隊】竜の位に位置する2人の恋物語

送る意味 ページ11

私が心の中で困惑してると「渡したいものがあるからついてこい」とのこと。

『？うん』

豹牙の意図が分からないままついていく。


――――――
黙ってついていけば山の中に入る。何処へ行くのか検討もつかない。

暫く歩けば奥に大きな屋敷が。

『わぁ、山の中にあるんだね。ご両親は？』

そう問えば豹牙は顔を曇らせ「知るか彼奴らなんて……」と言った。

……………訳アリ……って事かしら？そう思った私はそれ以上追及しなかった。

「そこに座って待ってて」

『分かった』

縁側を指して言われたのでお言葉に甘えて縁側に座る。

景色を眺めながら待ってると豹牙がお茶を持ってきた。

「ん」

私に一つの袋を渡してきた。豹牙が言うには「色々世話になったから」とのことらしい。

『開けて良い？』

「あぁ」

肯定の言葉が返ってきたので丁寧に袋を開ける。

中に入ってたのは、紺色の漆が塗られており飾りには椿があしらわれていた。

『これって、もしかして簪？』

簪…………確か男性が女性に簪を送る意味は……意味が分かれば顔が赤くなる。

「夜月に似合うと思って買った」

『ありがとう。凄く嬉しい。大切にするね』

この言葉を豹牙はどう捉えたのか、それは本人にしかわからない。

そんなことを考えながら簪を着けようとすると豹牙に止められる。

「貸して。俺がやる」

豹牙に簪を渡す。

綺麗に結われる。椿の飾りが日光にあたり輝く。

「家まで送る」

そう言われる。この気持ちを隠すために、『いや、大丈夫だよ。私そこ迄弱くないし』と言った。

それでも豹牙は引かない。押しに負けた私は送ってもらうはめになった。

『今日はありがとう！また今度』

去り際にそう言う。

「気を付けろよ」

―――――――
無事屋敷に帰ってきた。今日は色々と疲れた。

居間に行き寝転がる。

…………豹牙には私の事をそう言う風にみているの？

ここに入ってるからには常に死と隣り合わせ。いつ死ぬか分からない身。

生きてる内に………こういうこと、しても良いかもね。



この後フクちゃんと女子会的なものを開いた。



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大正コソコソ噂話
夜月はフクちゃんに「想いを伝えたら？」って言われたらしいよ？

伊黒と豹牙と簪と→←簪

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