すまんだら7 ページ7
.
「この辺でいいよ」
近くなってきたので、停めるように声をかけた。
「ん？家まで送るで？
荷物もあるし」
「大荷物じゃないから大丈夫よ。
そこのＴ字路で降ろして」
また下唇を突き出して不機嫌そうにしているけど、特に何も言わずに停まってくれた。
「Good boy.」
「だから犬ちゃう言うてるやろ！」
二人で一頻り笑ってから荷物を持って降りる。
居座ってもいいけど汚さないように釘を刺してから見送った。
「お姉ちゃんだ！！」
少し歩くと大きな声が聞こえて、類が走ってきていた。
え、外で待ってたの？？
「おかえりー！」
「え、ただいま…
ずっと待ってたの？」
「ううん！来るって連絡来てから！」
それはずっとでは…？
まぁ部屋の住所教えてないからかもだけど…
「あ、洛…」
お腹付近にへばりついているのを撫でながら前を見ると、洛がこちらに向かって歩いてきていた。
「一緒に待っててくれたの？」
「中にいろって言ったんだけどね。
荷物持つよ」
肩にかけていたボストンバッグに手をかけられる。
類のこともあるし素直に甘えることにした。
「重かったらごめんね」
「車で来たからどんな大荷物かと思った」
「…あれ？降りたの見えた？」
「いや、見えてはないけど車がさっきそこ曲がったからさ。
ずっとかけてた割にはしんどくなさそうだなぁって思っただけ」
「すごいね洛！
探偵みたい！なれるかもよ？」
洞察力高すぎて笑うしかないんだけど
バカっぽい笑いは抑えて、くすくすと笑ってみせる。
すると巻き付いているものに力が加わったので見てみると、ほっぺを膨らましている類がいた。
「洛くんと話してないで早く帰ろうよ！」
「類が可愛すぎて禿げそう」
「どんな表現だよ」
呆れられたけど可愛いんだから仕方ない。
あざとく可愛さを全面に出してくる奴らもいるけど、この純粋さがないんだ。
この可愛さは類にしか出せないね、うん
「一緒に寝よっ」
「二段ベッドなんだから無理だろ」
「じゃあ交代しよ！」
「やだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふたみや遥
| 作成日時：2021年3月20日 17時
