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「馬車を用意して、小屋へ行くわ」
夢を見たせいか、この言い方に違和感を覚える。
……まぁ人といえば人だものね
獣人族だと言われていたのを落札した。
その子を
あの子は夢の中で何度か私を庇って死んだ。
庇われなかった夢ではどうなっているのかは分からないけれど、どの夢になってもいいように自由にしてあげなきゃ…
その思いを胸に契約書を持って馬車に乗った。
あの子に会ったらちゃんと謝ろう。
それで殺されるなら仕方ない。
それだけの事を直接してきたのだから…
殺すために戦争なんて起こす人に殺されるより、よっぽどマシだわ。
「着きました」
「一人で行ってくるわ」
「かしこまりまｯお嬢様！
手袋をお忘れですよ！！」
御者が慌てて防御魔法が付与されている手袋を差し出してきた。
この手袋をしていれば、襲われても反射してどうにかなるらしい。
詳しい説明をされた気もするけれど、全く覚えていない。
…謝罪前に殺されるのは嫌だしつけておこうかしら。
ちいさなログハウスに足を踏み入れる。
…少し埃っぽいわね。
本が少し置いてあるだけの殺風景な部屋。
ほかの娯楽品はなく、いつが使うようなエサ入れと水入れ、小さめのベッドのみ。
そしてベッドには、あの子の首に繋げている鎖が固定されている。
「出ておいで、ゾム」
久しく名前をちゃんと呼んでいなかったからか、ベッドの影から威嚇される。
「なかなか来れなくてごめんなさい。
今日は話があって来たの」
威嚇されている以上 近付くのは得策では無いのでベッド端で足を止めた。
しゃがむと、こちらの様子を見てきたので目線を合わせる。
彼のきれいなデマントイド・ガーネットが見えた。
この眼がきれいだったから、誰にも見せたくなかったから
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作者名：ふたみや遥
| 作成日時：2021年3月20日 17時
