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飽きた。
読書と刺繍のルーティンだし、座ってばっかりで体を動かしたくなった。
「まさかダンスをしたくなる日が来るとは……」
湯浴みは好きな時にしてもいいのか分からないし、夕食後に少しだけしようかしら……。
あー、でも離れてるとはいえ隣の方にまでヒールの音が聞こえたら申し訳ないなぁ
「というか相手がいない……」
ベッドで項垂れているとノックされたので、許可を出す。
「A様、本をお持ちいたしました」
「……カドリ、ちょっとこっち来て」
「は、はい！」
大丈夫、怒るわけじゃないから
「おっお嬢様...！」
「意外とカドリに見える？」
「い、いけません！
召使いの服を着るだなんて！」
「自分でも本を探したいの。
今回だけだから、ね？」
困るカドリを他所に図書館の場所を聞いてから、読み終えた本を持っていざ行かん！
バレたら国に返されそう
そんな不安はあったけれど、久々の外に気持ちは舞いあがる。
城内にある図書館へは難なく着いた。
ありがとうカドリ、分かりやすかったわ。
「おや、珍しいですね」
「！こ、こんにちは……」
挨拶ってこれで合ってる！？
というか話しかけられるなんて想定してない！！
「いつもは朝にご返却に来ますよね？」
「ええ、今日はいつもより集中なさっていまして」
「……そうですか。
では、いつもの様に見繕いましょうか？」
「い、いえ……
お嬢様から種類問わずと言われまして」
いつもこの人が選んでくれてたの！？
当たり障りのない内容ばっかりだったから、カドリだと思っていたわ……
「では、私のオススメを入れされていただいても？」
「ぜひお願い致します」
「お持ちしますね。
返却の本はその机に置いといてください」
「ありがとうございます」
ミルクティーの様な髪色に似合わず、知的な方ですわね……
服装から漂う紳士さはそのままでしたけど
さて、何を読もうかしら……
歴史書と、あっ！カドリにワルツのステップでも覚えてもらおうかしら？
「お待たせしました。
...ワルツ、ですか？」
「はい。
体を動かしたいと最近仰ってるので、お嬢様のために覚えれたらなと思いまして」
おっと、これ以上話すのは危ないかも。
この人とカドリが会った時に辻褄が合わなくなっちゃう
「本ありがとうございます。
お借りいたしますわ」
「は、はい！」
笑顔で言うと少し顔を赤らめていた。
元気な返事に少しだけ笑ってしまったのは許していただきたい
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作者名：ふたみや遥
| 作成日時：2021年3月20日 17時
