ストライク【Ｃ５１】

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「A、はぐれやんといてや〜」

『わ、かってる、！』


まだ球場の中にも入っていないのに、周りは赤い服を着た人達ばかりで、少しでも気を抜けば人混みに流されそうになる。

もう、奏について行くので精一杯で


「着いたで！」


気付けばマツダスタジアムについていた。


『でっか！！』


家が近所だから何回か通った事はあるけど…
改めて見るとやっぱり迫力が凄い。

こんな大きい所で、誠也くんはいつも試合してるんだよね…


「A、チケット見せて」

『あ、うん』

「スタンド席やん！人いっぱいやで〜。笑」


時刻は１８時半。
大学で色々やっていると気付けばこんな時間になってしまっていて、急いで球場へやって来た。

当然もう試合は始まっている。


「どのへんやろー。A、分かる？」


球場の中に入って、思わず目を疑った。

球場のほとんどが真っ赤に染まっていて、
トランペットよりも大きい歓声と応援歌。

こんな光景、初めて見た。


「あ、多分あそこの空いてる席やな」

『すごい…』

「おーい、聞いてる？笑」


カープって凄いんやな…
でもこんな凄いチームにいる誠也くんはもっと凄い。


「え、めっちゃ近いやん！」


席につくと、奏のテンションがより一層上がった。

野間さん…ほんまにありがとうございます…！


「A、前見てみ」


奏に言われた通りに見てみると、ユニホームに
‘‘SUZUKI５１’’と書いている人がいた。

すずき、？


『え！？あれ、誠也くん！？』

「知らんかったん？笑」


背番号５１なんや…
５１のユニフォームを着ているファンの人が多いのはそういう事か。しかも若い女性が多い気がする。

誠也くんってほんとに有名人なんや…


「鈴木誠也がおるのは、ライトってポジション」

『らいと…』

「ちなみに、ほとんどいつもスタメンやで」

『え！？』


あの、いつも変顔ばっかする誠也くんが！？

同い年やのに、ほんまに凄いな…


「あ。負けてるやん」

『えっ、え、』

「もう５点も入れられてる」


カープは今負けている。
奏が言うには、野球はこれから！らしい。


「勝ってほしいな」

『うん！』


２回表、５−０



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