ストライク【Ｃ５１】

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「やっと実習終わったな〜」

『徹夜ばっかやった』

「来月も丸々一ヶ月実習やで」

『あー、忘れてた…』


食堂でお昼ご飯を食べながら、いつものように奏と雑談していた。
あ、そういえば…


『今日夜なんかある？』

「無いけど、なんで？」

『これ、』


鞄からチケットを取り出して見せると、さっきまで
「もう実習いやや…」と言っていた奏の顔が、みるみるうちに輝いていった。


「え！？なんで持ってんの！？」

『あ、知り合いに貰ってん』

「カープの試合のチケットなかなか取られへんのに…しかもズムスタやで！」

『そんな凄いん？』

「うん！！」


そんなレアなチケットを野間さんはわざわざ…
段々野間さんが神様に思えてきた…


『奏、行ける？』

「行ける行ける！」


確か、チケットには１８時からと書いてあった気がする。


「Aの知り合い凄いやん！関係者かなんか？」

『あー…実はさ、』


バイト先のお店の常連さんにカープの選手がいる、とそのまま包み隠さずに奏に言った。
もちろん野球が大好きな奏は…


「え！？誰なん！？」


こう聞いてくるわけで。


『えっと…野間さんと誠也くん、』


たまのたまーに他の選手も来るけど、常連なのはこの二人だけ。


「え、凄いやん！！てか、‘‘誠也くん’’って何？
そんなに親密な関係なん？笑」

『えーっと…』


もういいや！！ここまできたら奏には全部言っちゃおう！！


『前に、好きな人できたって言うたやん？』

「うんうん」

『それ、誠也くんの事やねん…』

「えぇ！？！？」


奏さっきから驚きすぎ…笑
いや、でもそりゃ驚くか。

今まで起きた誠也くんとの出来事を、奏に全部話した。
そしたら…


「それ絶対向こうもAの事好きやん！」


なんてあり得ないことを言いだした。


『絶っ対に、ないから！』

「俺の前ではそのままでいてほしい。って言われたんやろ？そんなん普通言わんって！」


でも誠也くんがそう言ってくれて、めちゃくちゃ嬉しかったのは事実で。
その日から、逆に誠也くんは私といる時は素なんかな？
ってずっと気になっていた。


「Aはさ、野球選手じゃない鈴木誠也が好きなんやろ？」

『うん、』

「ならええやん！向こうもそういうAが好きなんやと思う！」


ほんまにそうやったら、どれだけ幸せなことか。


「今日の試合楽しみやな〜」

『うん！午後からの授業も頑張ろ』



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