【d!】恋愛なんてくだらない【shp】 (ページ10)

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『えっ。』

なんで私の考えてることが分かったんだ。

そう聞いてみると、小さな声で言っているのが聞こえたといった。

まさか、口に出ていたとは。

「別に、帰りたくないなら帰らんくてもええやん。」

彼は普段の表情で私にそういった。

まるで、それが当たり前と言わんばかりの表情で。

『帰らなくてもいいって、そんな簡単なもんじゃないでしょ。』

「そうか?友達の家に泊まるとか、いっそのこと電車とか乗って、どこか遠くに行くこともできるし。」

彼は、楽しそうにいろいろの案をあげた。

『そんな、私たちまだ子供なんだよ?そんなことしたら両親に迷惑かけるし、、、。』

「まだまだ子供っていうけど、言うてもう俺らも16歳やん?常識の一つや二つ知ってて当たり前な年齢なんやで。むしろ、まだ若いんやから、今のうちにやんちゃしとかな詰まんない大人になってまうよ?」

彼は優しい声でそう言った。

私だって、それが出来たらやっているはずだ。

でも、出来ないからこそ、ここまで考えてるんだ。

「まあ、Aが一人じゃいやだっていうのであれば俺も一緒についていくから。まあ、別に今のは本当に家に帰りたくなくて仕方がないってときが来たらやってみてもいいんじゃないかってことだから、真に受けんくてええよ。」

「まあ、なんかあったら俺にいつでも相談してええから。俺はいつでもAの味方やで。」

なぜ彼はここまで私に優しいのだろう。

彼は、私が家に帰りたくない理由さえ知らないのに、なぜそこまで私に寄り添ってくれるのだろう。

きっとここで、私が彼の手を取って、一緒にどこか遠くへ行けたらいいのだろうが、生憎私にそこまでの勇気はなく。私は彼の優しさから目をそらすことしかできなかった。