. ページ6
ブツブツ何かを話していたが、突然また私に質問をしてきた。
「今は、好きな人とかいたりするん?彼氏欲しいとか思うん?」
一体何なんだ。
まさか此奴も、他の男子と同じタイプだったのか?
そう思いながら私は答えた。
『好きな人はいない。ていうか、私そもそも恋愛とかあんまり興味ないっていうか、くだらないなっていうか、、、。だから彼氏欲しいとか思ったりしない。むしろいらない。』
正直な気持ちを彼に伝えた。
すると、彼は少し悲しそうな声でそっか、と言った。
その後、話しかけられることはなく、お互い無言のまま、また歩いた。
気まずいなーと思っていると、私の家に着いた。
『送ってくれてありがと。じゃあ、また明日。』
そう言って扉に向かった瞬間、彼は待って、と言いながら腕を掴んだ。
『どうした、何か用?』
そういうと彼は俯いていた顔を勢いよく顔をあげた。
「A、俺Aの事が好きや。」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で眠っていた今までの記憶が蘇った。
『、、、あっそ、それで何?』
私は冷たく彼をあしらった。
彼は少し顔を歪めたが、すぐにいつもの顔に戻った。
「さっき、Aに聞いたからわかってる。Aは恋愛なんか興味ないっていうのは。それでも、Aの事が好きや。だから、絶対に俺を好きにさせて見せる。俺の物にさせて見せる。」
彼は自信満々に言った。
彼の目からはその本気度が伝わってくる。
「だから、せいぜい頑張ってくださいね。」
彼はニヤッと悪い笑みを私に見せた。
それを聞いて、言われっぱなしは性に合わない性格のため、私は彼につかまれていた腕で彼の腕を掴み、勢いよく引っ張り彼に顔を近づけた。
『やれるもんならやってみな。でも、もう君と関わることはないと思うけど。』
そういうと、私は彼の腕から手を放し、家の中に入った。
家の中は真っ暗。
靴も無い事から両親はまだ帰ってきていないのが分かる。
私は玄関の鍵を閉めて、そのまま玄関の扉に寄りかかりながらゆっくりとしゃがんだ。
腕で目を隠し、一息つく。
せっかく友達として仲良くできそうな人を見つけたと思ったのに。
今まで通りにはもう、、、“戻れないんだ”。
そう思い、少し胸がキューっと締め付けられた気持ちになった。
私は、体を動かすことが出来なかった。
第一章 終わりの始まり
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黄色ピン | 作成日時：2024年3月19日 20時
