へそ曲がりエース

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「寒いやろ、こんな所おったら」

『‥っ巨くん？！偽物？！』

「本物です」
「それより、まだ夏とは言え寒いんだから病室帰るぞ」

『やだ』

「やだって‥お前、いくつだよ」

『だってさぁ、見てよ、上』

「上？」

『私たちがさぁ小さい頃見てた星空に似てない？』
『沖縄には負けるけど、いつも巨くんが見せ連れて行ってくれた場所』

「ヒフミさんちの裏庭？」
「‥懐かしいなぁ〜」












屋上のベンチの上に寝転がる私と
ベンチの下に座って私と同じように空を見上げる巨くん









『今日のヒーローは東浜巨投手です』
『‥誰に感謝を伝えたいですか？』

「比嘉Aさんです」

『っ！‥‥』

「自分から言っといて照れんなよ」











さっきまで病室でTVを付けて見ていた中継を思い出す




［今日のヒーローはこの方です‥東浜巨投手！！］
［７回を無安打０失点に抑えました］
［今日はどのような気持ちで投げたのですか？］

「今日はいつもお世話になっているトレーナーさんに感謝を伝えたくて投げました」
「いつもチームのために一生懸命働いてくれてたおかげで体調を崩して入院してるんですけど」
「今日自分が活躍すれば、そのトレーナーさんにも届くと思って一生懸命投げました」

［それではそのトレーナーさんに一言お願いします］

「えー‥いつもありがとう、ございます」
「みんな寂しがってるので早くチームに戻ってきてください」








ヒーローインタビューを終えた巨くんは
ベンチに戻るとみんなにイジられてた



ギータさんなんかは「自分が寂しかったの間違いやろ〜」って
陵矢くんは「良い加減素直になりましょうよ〜」って



TVで放送されてるんだから気を付けなさいよって思ったけど、
自惚れじゃなければ全部自分に向けての言葉で
なんだか大分恥ずかしいけど、すごく嬉しくて











『言い逃げなんか許さないからね、巨くん』

「え？」

『悪口ばっかり直接言ってきて、感謝の気持ちはTV越しとかあり得ない』

「‥すみません」

『それに！！自分は言いたいことだけ言って私の気持ちは何も聞かないわけ？』

「‥‥」

『私だって巨くんと同じ気持ちなんだよ！何年も前から！！』
『それを何？なんで後輩なんかに勝手に嫉妬して勘違いして！！』

「返す言葉もない‥」

『今なら、今までの態度言動全部取り消してあげる』

「‥はい」

『それで？なんか言いたい事あんじゃないの？』

















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