へそ曲がりエース

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勝っても負けても前を向く
そんな姿勢は私が知る限り学生の頃から変わっていないはずなのに









53「Aさんっ！ごめんなさいっ！！」

『え？なにが？』

53「巨さんの復帰戦だったのに‥」









そう落ち込む泉くんはとても可愛い
ついついそんな彼の頭を撫でていればやってくるのは大魔王で、









16「そんな所でイチャイチャしとらんと、はよホテル戻るよ」








やっぱり後輩には優しい巨くん
でも泉くんはどうしても今日の結果に納得がいかないみたいで







『巨くんだったらこれも経験だって言うと思うよ
　プロでできる時間は限られてるんだから切り替えろって』

『それに、今日負けたのは泉くんのせいじゃないよ
　もっと打ってくれなかったギーさん達が悪い！
　‥‥‥なんて言ったら怒られちゃうかな、笑』









そんな事を言えばやっと笑ってくれた泉くん









『明日もあるんだし、早くホテル戻るよ！』

53「ありがとうございます！Aさん！！」








急いで２人で駐車場のバスに向かえば大体の人はすでに座っていて
大体ベテラン勢が後ろに乗るから前の方は若鷹くんたちで埋まっている






ラッキー♪明石さんの隣空いてるじゃん
そう思って後部座席を目指したのに座っているのは何故か巨くんの隣







『なんでよ』
16「明石さんの隣はハセさんやろ」
『そんな決まりないじゃん！』
16「黙って座ってろ」






そうやっていつもみたいに傲慢な態度取るものだから流石にムカついて
音楽を聴こうとスマホを出そうとしたら落ちそうになって反射的に足が出てしまい
思いっきり蹴ってしまった前の席


恐る恐る顔を覗き込めば前の席にいたのは文丸で







『ごめん文丸！！』

56「大丈夫ですよ〜それよりAさんは怪我とかありませんか？」







って優しい言葉をかけてくれる可愛い後輩
隣にいる人にも見習って欲しいな〜って視線を向ければジッとこちらを見つめている見慣れた顔







16「足クセ悪過ぎやろ」
『うるっさ』
16「口も悪いし‥ガキははよ寝ろ」






そう言って私の手を引っ張って無理やり椅子に座らせて
フードをかぶらせる今日の先発投手






なんでこんなにワガママなんだろう
そう思いながらも気付いたら本当に寝ていた私









(‥なんでコイツはこんなに無防備なんだか)









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