へそ曲がりエース

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＃18






「良い加減仲良くしてください」

16「出来るならとっくのとうにしとるわ、笑」

「‥ですよね」








どうやらAは俺の登板に合わせて筑後へ行くと言ったらしく、
残念ながら昨日１日しか避難できなかったみたいだ









「Aモテるんすよ」

16「顔は良いもんな」

「(’’顔は’’なんていいながらも案外あっさり認めるんだな)」

「巨さん、筑後での話聞きたいすか？」

16「良いよ‥、どうせ俺の悪口ばっかり言っとったんやろ？」








なんて憎まれ口を叩いてるようだけど、
さっきまで翔さんの相手をしていたかと思えば
今は津森の所、そして今度はレフトとライト
正反対の方向へと順番に対応しているAを
心配そうに、これ以上ないってほどの優しい目で追っている








「谷川原は好きですね、絶対」

16「やっぱり」

「あと九鬼も海野も栗原も‥」

16「キャッチャーに好かれすぎやろ」

「それに選手だけじゃなくてスポンサーの人からもご飯誘われてましたよ」

16「‥‥ギーさんが契約しとる所の人やろ、茶髪の」








巨さん僕、今だいぶ引いてます
最近までただの幼なじみとか言い張ってたくせに
なんでそこまで知ってるんですか？


Aから良く小中学校の頃の話を聞かされてたんですけど
Aはモテなかったんじゃなくて
モテてたけど巨さんが邪魔してただけですよね？、絶対





なんてことは先輩相手に言えるわけなくて









16「俺さ、いつも突き放してばっかやん？」
　「もう無理なんかな」


「巨さん、知ってます？」
「Aって酔っぱらうと必ず寝言で巨くんって言うんです」
「大学時代も就職してからも、誰と付き合っても長続きしないんです」
「どんなに誰が思っていようと振り向かないんです」

「だってAはずっと巨さんだけを見てきたから」







だからどうか巨さん
僕は二人のことが大好きだから幸せになって欲しいんです









「Aのこと、任せられるのは巨さんだけなんです」
「だから‥！、だから！、Aのこと、‥よろしくお願いします」

16「‥っ、ありがとうな」








’’ありがとう’’
その言葉は何もかも見透かしてるようだった





俺の奥底に閉まった気持ちも
きっと巨さんにはバレてたんだ














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