○ ページ6
「わたし゛、グルッペンさん、の゛お仕事」
「…」
「くぢだし、するの、よくないって、思ってて゛」
「……」
「だから、我慢した゛、のッ」
「…………」
「でも！グルッペンさん！馬鹿だから゛！」
「おい」
「自分の限界、わかってなかったでじょ゛！」
「……(言葉もない)」
「グルッペンざん゛、もう無理しないで…ッ」
グルッペンさんの身体は前見た時より明らかに痩せていた。眠っている時、顔色が悪くて死んでいるのかと思ったくらいだ。しかも隈も酷い。どれだけ寝てなかったんだろう。だからあれほど寝てくださいって言ったのに。
倒れたグルッペンさんが運ばれてきた時、暴れまくったわたしはあのオスマンに怒られたくらいで、それからは学校に行けというトントンをガン無視してグルッペンさんのそばにいた。
「目が覚めた時、1人だったら、嫌だと思ったんです゛」
「…ああ」
「今まで散々頑張って、我慢してたから、きっと寂しいんだ、って」
「………ああ」
「……だから、だから……！」
「A」
あー、もう。やっぱりこの人の声は、わたしを落ち着かせる。
わたしの生活になくてはならないものなのだ。それが一ヶ月も掛けているなんてどうかしている。ベッドに顔を埋める。今もうすごい顔だから見られたくない。
グルッペンさんは、もう一度わたしの名前を呼んで、頭を撫でた。あったかい。あの人変わらない。この人の手が好きだ。
「心配かけて、悪かった」
「……うん…」
「次からはちゃんと寝る」
「当たり前だよ」
「飯も食う」
「…うん」
「だから泣くな」
「うるさいばか」
ぎゅう、と布団を握れば、グルッペンさんがクスリと笑う。笑い事じゃないんだからね。笑い事じゃないんだからね！ほんとに、ほんとに！！
「反省してるの！？」
「してるしてる。トントン、腹減った」
「お前はこれから1週間、粥生活や。梅干しなら付けたるわ」
「キツイな」
「きいてるのー！？」
グルッペンさんが帰ってきた。それから1週間、グルッペンさんは私たちの看病を手厚く受けた。
そしてその次の日。
「じゃあ行ってくる」
「絶対帰ってきてね！！帰ってこなかったら教会に行くからな！！」
「すごい脅し文句だ。19時には帰る」
「18時に帰れ！わたしがいる！」
「善処する」
顔色は随分良くなった。
隈もすっかりなくなって、元通りの美青年に元通り。
「いってきます」
「いってらっしゃい！」
グルッペンさん、帰ってきました。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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