○ ページ46
結局俺は祖母を殺した殺人犯だ。しばらくそこを動くことができなかった。
そんな時に家にやってきた奴がいた。物好きなおっさんだ。俺は全く面識がない。どうやら祖母の知り合いらしかった。
そいつは言った。行くところがないならうちに来ればいい、と。高そうなスーツに身を包み、部下らしき奴等を呼び、祖母の死体を片付けていく。
「お前の祖母は凄い人だった」
おっさんはそう言って俺の頭を撫でた。父親の存在すら無い俺に取っちゃ、そのおっきくてあったかい手が初めての感覚だった。
「諦めるな。過ちを犯したなら、償っていけばいい」
2つある、と言われた。
俺の元で償うか、社会のルールに則って償うか
「選べ」
思えば選択肢なんてなかった。
俺はそのオッサンについていくことにした。
中学2年で警察のお世話にはなりたく無いって、その時は必死に思ってた。だからそのオッサンに言われた通りに訓練を受けて、勉強をして、気づいたらこんな年齢だった。
「まともじゃないよ」
普通なんてどこにも無い。産まれた時から俺は「変」だった。だから「普通」な君に惹かれたんかもしれん。俺の持ってないものに惹かれたのかもしれない。たくさんの人望と、友人と、そしてその笑顔が何よりも眩しかった。俺には絶対ないものだ。
俺はもう祖母を殺したあの日から、血眼になって罪を償ってきた。隠蔽してくれたオッサンに尽くすことでそれを取り戻せると思った。でももう無理だった。人を殺すって言うのは、心を殺すってことなんだって、高校になってからわかった。もう手遅れだってことも、生きてる意味なんてあるのかわからなくなった。
「Aちゃん」
「は、はい」
「友達、なろうなんて無理やろ」
「…」
人殺しの俺は、友達なんて持つ「価値」も無い。
恋人と友達は違う。全然違う。
世間はどうか知らないけど、俺の中では友達の方がよっぽどおっきなものだ。信頼と絆、いつでも笑い合える、いつでも言い合える、そんな関係。俺には無理
「俺と同じ好きにならんのやったら、もうやめたほうがいい。俺も諦める」
そのほうがお互いのためだと思ったよ。
「汚い世界」をわざわざ見る必要はない。俺の友達になったら少なからず見ることになるし、巻き込むことになる。
綺麗な君のままでいてくれ。俺はもうこれ以上手は汚したくないんだ
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花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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