○ ページ43
「ぶっさいくな顔やなあ」
「なっ…！っう！」
「ほら、泣くな」
ゴシゴシゴシ、とコネシマくんは自身の手で私の顔を擦った。出掛けていた涙は拭われていった。
「ありがとう」
「…えっ」
「めちゃくちゃ考えたんやろ？」
「…うん」
「じゃあええよ、別に友達も辞めん」
「…ほ、ほんと…？」
「おん。まあ好きなんも辞めんけど」
「エッ」
「当たり前やろ？」
今までは友達という意味で好きだっただけなら、これからは恋愛という意味でも好きにさせていけばいいのだ、と彼はいう。
「お前がずっと友達でおりたいと思うように、俺もお前を好きでいたいねん」
「………」
「あかんか？」
「……え、えと…いや…」
「ならええやん。別に露骨に、鬱みたいになるわけとちゃうし」
「あ、そうなんだ…」
「当たり前やろ。シャオロンもロボロもおるのに」
「そ、そうだよね…」
「でもな」
グッと顔が寄ってきた。
コネシマくんはとてもとても顔がかっこいいので、手紙を持っていた手に力が篭ってしまう。くしゃ、と音が鳴った。
「俺がお前を好きっていうのは、頭に入れとけよ」
「は、はひ…」
彼の声が耳から直接脳に響いて、なんだかそれはすごく、イケナイことな気がして途端に恥ずかしくなった。
私の間抜けな返事にコネシマくんは笑って、頭を撫でてくれた。「顔真っ赤やで」なんて余計な一言までつけて。そりゃ真っ赤にもなるよ！！と叫びたい衝動をぐっと堪えた。
「ほな、俺部活あるから」
「あ、そ、そっか…朝練…」
「せやねん。また後でな」
そういってコネシマくんはくるりと踵を返した。しかしそのまま進むかと思えば止まっているから、どうしたのかと首を傾げる。
すると彼は首だけ回して顔をこちらに向けた。
「前、キスしようとして悪かった」
「！？」
「ほな」
彼に言われるまで、忘れていたことを思い出してまた顔が真っ赤になった。でも彼はその事を謝ったのだから許すべきなのだろう。歩いて行くコネシマくんに向けて私は精一杯大きな声で叫んだ。
「自分の顔の良さ、理解してくれー！！！」
貴方の顔はカッコよすぎて、心臓に悪いんですから！！
コネシマくんはそんな私の叫び声に振り返って手を振ってくれた。分かっているのかはさておき、コネシマくんに面と向かって言えたことはすごく自信になった。
「…次も、ちゃんと言わないと」
今日の放課後まで、気を抜けない。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
