○ ページ38
コネシマくんと鬱先輩から逃げて、私は校門まで走っていた。全力で走ったものだから、肩で息をするほど疲れている。でも、今はそんなことよりも、先程まで起こっていた事象に頭の思考回路が持っていかれている。
「(好き？)」
コネシマくんが、私を？
いやわからない。いつから？いつから好きだったと言うのか。なぜ、なぜ好きなのか。そんなことも聞けなかった。鬱先輩で、既に手一杯なのに何故今このタイミングで
『鬱に取られるくらいなら、俺も同じ場所に立つ』
取られるって、つまり私が鬱先輩と付き合うってことだよね。いや、ない。私は鬱先輩はライクの意味で好きだけど、ラブの意味で好きじゃない。でもコネシマくんはそれを誤解した？いやもうわからん、わからんわからんわからん……！！
幸いというべきか、もう放課後も遅い時間で、下校する生徒がいなかった。私は校門の端の方で座り込み、深いため息をつく。
今は何を考えても結論が出る気がしなかった。
「A？」
そのとき、校舎側から声をかけられた。反射的にそちらを向くと、ロボロくんが立っていた。今日は部活がないはずなのに、なぜ。
「ど、どしたん！？」
ロボロくんはぜえはあと肩で息をしている私を見て慌てて駆け寄ってきてくれた。
「なんかあったんか？」
「……いろいろ、あって、…」
「色々て…」
「………ねえロボロくん…」
「ん？」
「ロボロくんは、コネシマくんが私のこと好きなの、知ってたの？」
以前ロボロくんに、鬱先輩に告白されたことを、コネシマには言うなと言われた。その時、あんまり深い意味を考えていなかったけど、今考えたらわかる。そしてこの言葉で、頭の良いロボロくんは何があったのかわかったらしい。
「……知ってたって言うか、側から見たら丸わかりやったし」
「え？！」
そんなに！？
「でも、私全く…」
気づかなかった。
そんなそぶり、いつしてたんだろう。私は彼を良い友人だと、っていうかコネシマくんが友達になろうって言ってくれて…
「！？ちょ」
「う、うぅ…」
頭がパンクした。寸前だったモノがばちーん！って破裂した。そのタイミングで涙も出てきた。もうわけがわからない。
「A…」
ロボロくんの前で泣くのはお門違いなのに、それでも止まらない。なんでこんなことに。
「…A！」
「…っ、うぇ…？」
「今週末、一緒に遊びにいこか！」
「…？」
「遊園地！いこや！」
ロボロくんはそう言って私の手を取り、笑った。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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