○ ページ35
「俺が手ェ離したからコケてんな、悪かったごめんなーAー。泣かんといてー」
「ゾムざん゛…ずびび…」
「鼻水きったな」
「うえええ…」
ゾムさんですらドン引くレベルで泣く私の悲しみが癒えることは無い。ひとらんさんに謝り続けているが、彼が許す時もこない。むしろ許すな…。
「駅前の美味しいガトーショコラ買ってきます゛…！」
せめて出来る対処がこれしか無いと、私はその場から立ち上がった。せめて美味しいガトーショコラを今日渡す方法、それは市販を渡すことだった。手作りはまた日を改めて、お世話になった気持ちを……！と思っていたのだが、ひとらんさんが「いらない」と言うのだから崩れ落ちるほかない。
「買わせてすらくれない……ッ！」
「金の無駄だからいらない」
そう言ってぐちゃぐちゃになったガトーショコラを袋から取り出し食べようとするひとらんさんの手をこれでもかと言うほど速いスピードで掴んだ。
「何やってんですか！？お尻で潰したから汚いし下に落ちたから食べれるわけないでしょ3秒ルールなんてとっくに終わってますよ！！」
「紙袋の上から潰してるし下に直接落ちたわけじゃないからセーフ。そんないじけられるならこれ食べるよ」
「やめろーー！！！」
「うるさ」
私の静止も虚しく、ひとらんさんは口にガトーショコラ(だったもの)を運んで食べた。ゾムさん同様にもぐもぐして直ぐに食べ終えたのか「ごちそうさま」と言った。
「まあまあ」
「潰れたガトーショコラ食ってまあまあ評価…だと…？」
「味は別に不味くないよ、わざわざありがとう」
それだけ言い残してひとらんさんは屋上から飛び降りた。慌てて追いかけたのだが、彼がこの程度のことで死ぬわけもない。壁くらい余裕で走れるやろ、とゾムさんに言われて確かにと頷いてしまった。
「よかったなあ食ってもらえて。ひとらん喜んどったな！」
「喜…？」
「ありがとうなんて滅多に言わんしな」
ニヤニヤと笑うゾムさんを見て、お腹壊したらグルッペンさん経由でお見舞いの品を渡さなきゃ…と決意した。
……でもやっぱり食べてくれたのは嬉しかったかもしれない。
「んじゃ俺もこれで」
そう言ってゾムさんも屋上からいなくなった。飛び降りていなくなるってことはやっぱり飛んで登ってきたのかな…なんて思っていたら、肩をがっしり掴まれて、今の今まで忘れてたなと思って、思わずフッと笑う。
「あの2人についても教えて貰わなあかんな」
「…ハイ」
逃げられる、訳がない
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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