○ ページ34
「逃げてる奴ってアレか？」
小声でゾムさんがそう言うので、私は頷く
鬱先輩のことはあまり掘り下げたく無いし何より本人もあまり言いふらされるのは好きじゃ無いだろう。コネシマくんが口軽だとは思わないけど…それとこれとは話が別というものだ。
「なるほどなー」
そんな呑気に答えてはくれるが、ゾムさんからは物音一つ立っていない。これがプロか…。
「…ちょっと、何してるの」
「！？」
すると本当に気づかなかったのだが、背後からにゅ…とひとらんさんが出てきた。あまりの突然のことにビックリした私は声にならない声をあげてゾムさんから離れてしまい、そのままバランスを崩して転倒した。
ぐしゃ、という虚しい音と共に、「あ、」なんてゾムさんの間抜けな声を聞きながら。
「あ！Aおった！」
「い…てて…」
コネシマくんにバレるしついてない……！！！と思って目を開けたらゾムさんが目の前で呆然とした顔で私の方を指差していた。人を指差すなんて失礼な…と思って立ち上がろうとしたら、ぐちゃ、とケツの下からなんか嫌な音が聞こえてきて、ゆっくり音の出所を確認した。
「ぎゃああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」
私の悲鳴が、学校中に響き渡ったことだろう。
○＊・・＊○
「えぐ、えぐ…うっうっ…」
「……………」
「ひとらんのせいやぞお前ー」
「は？俺のせいじゃ無いけど。お前らが物陰で抱き合ってるから何事かと思って声かけただけ」
「おい誤解を招く言い方をすんな」
私は転倒した時に、ひとらんさんにあげるはずのガトーショコラをお尻で潰してしまった。紙袋の中で潰れたおかげでスカートが汚れることはなかったけど、ガトーショコラは見るも無残な姿にされており、私は悲しみ、今はコネシマくんの胸を借りて泣いている。
「…はあ、何を呼び出されたかと思ったら…」
ひとらんさんがそう言ってぐちゃぐちゃになったガトーショコラを見つめた。美味しくできたはずだったのに私のお尻で潰されたガトーショコラなんて食べさせることすらできない。でもガトーショコラはクッキーと違って簡単に作れない。
「……金で…………………」
「いやいらないよ」
ありったけのお小遣いを出したのだが拒否されてしまったので、私はまた泣くしか無い。せっかく頑張ったのに…！
「お、い。落ち着けや」
「うっうっ…えぐ…ずび…」
さすがのコネシマくんも私の泣き様に落ち着いたらしい。引いてる……
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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