○ ページ31
屋上は相変わらず人が少なくて、まあそれはそうかと納得する。だって2月っていってもまだまだ風は冷たい。それでも私たちがここでご飯を食べるのはみんなここが気に入っているからだ。
陽が当たる所に荷物を置いてみんなでお昼ご飯を広げる。
「毎年毎年よお貰うわコネシマくんは」
「俺は欲しいなんて思ってない」
「アラララおモテになる人は言うことがちゃうわ」
「煩いなあ。お前もそれなりに貰うやろ」
「今年は1個ですぅー」
「は？」
そんな会話をしながらパンをかじるシャオロンくんとコネシマくん。わたしも話に耳を傾けながらもこの背中で隠したクッキーはどうしようかと考える。
「今年はもう欲しいチョコもろたからえーねん。なーAー？」
そういってシャオロンくんがにっこりと可愛く笑う。さっきの鬱先輩の不機嫌はどうやら飛んでいったらしい。よかったよかった、それと同時にその話の振り方は私がチョコをあげたということになるんだよね…？いやそれは間違いないんだけど…
「…ま、まあ…クッキーだけど……」
「美味かったよ」
「え！もう食べたの？」
「うん、休み時間に」
「は、はやい…」
エーミールもそうだけど、食べるのが早い。
「……なんやねん」
ちらりとコネシマくんをみたらこれでもかとこっちをみてて睨まれてビックリした。
な、ななななんで怒ってるんだ。なんで…！？元々目付きが悪いコネシマくんに睨み付けられると私みたいなビビリは震え上がるしかできない。
「い、一応コネシマくんにもあるんだけど、甘いもの嫌いって知らなくて…！また作り直して、明後日くらいには渡せるようにって思ってて…！！でもいらないならいらないで何か物でもいいんだけど……！！て、てか物のほうがいいのか、…な……………」
慌てて取り繕った言葉は言い訳の言葉たちで、自分で言ってて何いってんだと思いはじめたので途中でやめた。
「…がええ」
「…え？」
「…クッキーがええ、頂戴」
コネシマくんはそう言って手を前に出す。これは寄越せということだろうか。
「で、でも、割と甘く作っちゃって、甘いの嫌いって」
「あーさっきのやつは…………気にせんでええ」
「え！？」
「ええから！」
そこまで言われて渡さないのもおかしいので、私は恐る恐る紙袋からクッキーを取り出し、コネシマくんの手の上に乗せた。
「ん、ありがとう」
そう言って笑ったコネシマくんの笑顔も、やっぱり見たことがなくてかっこよかった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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