しなしなのかき揚げ ページ18
1月の末になれば寒さの絶頂期だ。
休みの日は、当然こたつでぬくぬくしていたいと思うのが日本人だと思う。
「あぁ〜〜〜〜」
休みの日、朝起きたら寒すぎて凍え死ぬかと思った。
慌てて階段を駆け下り、リビングにある炬燵に全身を突っ込む。顔まですっぽり納めて、中でぬくぬくと温まっていたら、外からトントンに蹴られた。
「コラ」
「うえー」
トントンが準備してくれた朝ごはん(時間的には昼)を目の前にいそいそとこの寒い空間に顔を出さねばならない。家の中は暖房機がついているとはいえ、薄寒い気もするのだ。炬燵が最強すぎる。
「トントン、他のみんなはー？」
「オスマンとグルッペンは仕事。エーミールはまだ寝とるんちゃう？」
「はーみんな大変ですな」
普段私より先に起きているはずのエーミールが寝ているのは割とレアだ。最近テスト製作で疲れていたようなので、流石のトントンも起こしにはいかないらしい。
「トントンは最近仕事どう？」
「…なんやその俺の同僚みたいなセリフは」
「いや気になって。文化祭の時とか無理してきてくれてたから」
「あれは別に無理してへん、行きたかったから行ったダケ」
そういってキッチンからお箸を二つ持ってきてくれたので、私はトントンが入るようのスペースを作り、コタツを開けた。今日はお蕎麦らしい。あったかくていいね。
「いただきまーす！」
「いただきます」
こうしてゆっくりトントンと二人でご飯を食べるのもなんだか久しぶりだなーなんて思って、チラッとトントンのそばを見たらかき揚げが一つしか入ってなかった。私のやつには二つ。
「トントン、かき揚げはんぶんこしよー」
「あ？二つ食えへんのか？」
「うん、半分食べて！」
「…気ィ使わんでええねんで」
「使ってない使ってない」
「でもお前かき揚げ好きやろ」
「好きなものは好きな人と一緒に食べたいじゃん〜」
そこまでいえば、トントンが目をまんまるに見開いた。
「……そういうの、言う相手は選べよ、ほんま…」
ぼそりとそんなことを言ったかと思えば、私のそばの上になっていたしなしなになりかけているかき揚げを一口で半分まで食べてしまった。
「相変わらず一口がデケェ！」
「うっさいわボケ。早く食え」
「わーい」
私は躊躇なくトントンが半分食べてくれたかき揚げを食べる。うん、美味しいね。
「おいしーねー」
「せやな」
「晩ご飯なに？」
「…昼飯食ってる時に夕飯のこと考えるとデブになるで」
「エッ」
そんなバカな！
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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