積極的なヒト ページ17
鬱先輩の携帯バリバリ破壊事件から数日後。
アレからわたしと鬱先輩がどういう関係になったかというと
「…！ Aちゃん、おはよう」
「お、おはようございます」
今日も今日とて、健気に鬱先輩は校門前で登校する私を待っていたのか、私が到着するや否や、笑顔で挨拶をしてくるようになった。
もちろん、私は辞めて欲しいと言ったのだが、本人曰く「偶然立ってたらAちゃんが登校してくれるだけ」らしい。そこで察した。ああ、何言ってもダメなやつだ…と。
「荷物、教室まで持つで？」
「だ、大丈夫ですってば…」
私も譲らないものを持っているが、先輩もなかなか譲ってくれない。
なぜか二人で校門から校内まで向かい、鬱先輩は何故か私の教室まで見送りに来る。
正直というか絶対にやめて欲しい気持ちしかないのだが、鬱先輩は聞いてくれそうにない。
……周りからの、視線が、痛いの…
でも、私だってそんな辞めて欲しい気持ちを持ちながら、一度も鬱先輩伝えなかったわけじゃない。何度も伝えようとした。
しかしそのたびに
「…アカン…？」
と超絶怒涛のイケメン顔で言われたら「うっ！」しか声が出ない。ずるい、ずるすぎる。私はこの人の顔はとても好きなのだ。
「今日も授業、頑張ってな」
「はい、アリガトウゴザイマス…」
「今日も可愛いよ」
「ヒェ」
「好きやで」
「ピョエ」
「じゃ、また」
教室前でいつもこれだけ言い残して自分の教室に帰ってゆく鬱先輩。気を使ってか、可愛い、とか好き、とかいう時は一応小声で周りに聞こえないようにしてくれているが、私の顔が真っ赤すぎて、正直隠せている気がしない。
「おはようA〜」
「…お、おはよう」
「朝から疲れてんなぁ。鬱先輩？」
「……うん」
「俺が言ったろか？」
シャオロン君が朝から疲れている私を見て気遣ってくれるが、私は苦笑いしながら首を振る。
「ありがとう、大丈夫だよ」
「……そう？いつでも言うてな？」
「うん！」
鬱先輩の積極的なところには疲れ果てるが、私が答えられるわけでもないので、きっとそのうち、飽きてくれるのではないかと思っている。それに期待したい。後わざわざシャオロン君に言ってもらうのも申し訳ないし…。
席に着いた私は、ゴソゴソと机の中から教科書を出そうと手を突っ込んだ。
「…あ」
そういえば、交換ノートも続いている。
と言っても、相手が鬱先輩と分かった以上、書くことは前みたいに好き勝手書けないけどね。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花奈 - 更新再開されてとっても嬉しいです！！！！！今後も楽しみにしてますTT (2021年6月21日 18時) (
レス) id: b9fb555fa9 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - 全部一気に見ました！神作品ありがとうございます!これからの投稿も楽しみにしてますね! (2021年3月21日 13時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とても面白いです！！誤字を指摘させていただくのですが『スイスとオーストラリア』ではなく『スイスとオーストリア』ではないでしょうか。違ったらごめんなさい。応援しています！！ (2021年3月20日 21時) (レス) id: 148d6a46f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 全部一気に読んでしまいました…。本当に最高です！もう語彙力がなくて私のこの感情を作者様に伝えることができないのが本当に申し訳ないと思うほどこの作品は素晴らしすぎます…無料で読んでよかったんですかこれ…。本当にありがとうございました…感無量です… (2020年12月21日 16時) (レス) id: 1e1f442bdf (このIDを非表示/違反報告)
よこはま(プロフ) - ムニエルさん» ムニエルさんありがとうございます！全員実る世界線書くつもりなので最後までよろしくお願いします！ (2020年7月8日 19時) (レス) id: 51d00fe6bf (このIDを非表示/違反報告)
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