＊ ページ37
目を見張った一虎の表情は氷のように固まる
「なんで急に？」
『んー？いや･････昨日アンタのお父さんには色々言ったけど。結局どうして一虎はペットショップをしたいのかなって』
貰い物のクッキーを口に入れたA。
一虎は黙り込み、暫くして口を開いた
「････････ペットショップは、俺の･･･ダチの夢だった」
『･･･千冬？』
「違う･･･でも千冬にとっても一番大切な奴だった」
『(･･････
『そう。それでやってみたいと思ったんだ』
「･･･まあ」
『そっか。教えてくれてありがと！』
「･･････」
一虎は、川を眺めるAの横顔を見た
·
「･･････なんで、何も聞かねえの」
『ん？』
小さく吐き落とした一虎は、Aに顔を覗き込まれ反射的に目を逸らす
(･･･今の事だけじゃねえ)
「俺が刑務所にいた事も･･･」
『･･･』
(昨日、父さんから聞いたくせに･･･何でこんな、前と変わらず一緒にいてくれるんだろう)
「そんなん知ったら･･･普通はもっと怖がったり･･･嫌がったり･･･すんだろ」
·
(･････なのに)
【なのに、どうして】
グッと、固く拳を握りしめた
·
『なんでって言われても･･････私は、今の一虎しか知らないから』
「･･･」
『まだ出会って2ヶ月くらいだけど･･･私が自分の目で見てきた一虎は、真っ直ぐで一生懸命で優しい人だよ
＿＿＿そんで口も悪くて、ガラも悪くて、意地悪！』
「あ？」
『ほら そういうとこ！接客も下手だよね〜』
「う、うるせェッ･･･！」
『ふふっ』
「･･･っ」
Aは少し腰を上げて、一虎の方に1歩詰め寄った
二人の距離が少しだけ縮まる＿＿＿
『私は、自分の目で見てきた一虎を信じただけだよ』
優しく寄り添うようなAの言葉に、一虎の心は
『過去に何をしたのかも･･･一虎が話してくれるなら聞くし、話したくないなら別に･･･わざわざ無理して言う必要はないよ』
「･･････バッカみて･･･」
一虎は自分に向けた蔑みの目で、自傷気味に笑った
「もし俺が、軽蔑するほど最低な奴だったら･･･お前どうするつもりなんだよ」
Aは静かに、一虎を見つめていた
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綾林檎 - あいこさん» とっても嬉しいです！ありがとうございます (2021年11月5日 8時) (
レス) id: 2125adda19 (このIDを非表示/違反報告)
あいこ(プロフ) - まだ途中までしか読んでないですが、キュンキュンしちゃいます！ (2021年11月2日 20時) (レス) id: 2a2413d9a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾林檎 | 作成日時：2021年10月20日 20時
