「温かい人」 ページ29
一虎は、足元にいた犬を何気なく抱き上げた
「あっソイツ、俺の犬ッス。秋田犬のハナコです」
「！？･･････あ･･･ああ、そう･･･」
突然 背後に現れたカズマに、一虎は普通にビビった
·
＿＿＿『あれ？』
Aは、一虎の方を見て目を丸くしてる。
「･･･？」
『なぁーんだ、暴れられなくなったじゃない！』
「･････････え？･･･え･･････あぁっ！！」
その通り。
一虎が抱き上げたのにも関わらず、ハナコは吠えも噛みつきもせず、大人しく抱かれていた
「は、初めてだ･･･！！」
一虎は感極まって、目を潤ませている
『やるじゃん、私でも最初はちょっと人見知りされたよ』
カズマ「俺なんて未だに警戒されてる」
テツ「いや お前は飼い主だろ」
(さっきから思ってたけど･･･なんかコイツら、コントしてるみてえ)
＿＿＿クスッと笑って、一虎は冬の夜空を見上げて息を吐いた
「･･････」
俺の為に、父親に頭突きをしてくれたA
初めて、暴れられること無く動物を抱けた感動
そして、未だ目の前で繰り広げられているコントと笑い声
いろんな感情が気持ち良く混ざり合って、なんとも言えない･･･満たされた気持ちで胸がいっぱいになる
一虎は この空気がとても居心地が良かった。
·
一虎が胸の温かさを噛み締めていると、肩を軽く叩かれる
『やったじゃん』
Aだった。寒さで鼻先が少し赤くなってるのが可愛いだなんて思いつつ、一虎は頷く。
『一虎はやっぱり優しいんだね』
「･･･！」
ドキッ･･･──。
一虎の胸が温かく高鳴った。
ニコッと微笑むAは、一虎からハナコを受け取り、胸に抱きかかえる
『動物ってね、けっこう人の気持ちに敏感なの。きっと人と動物は言葉を交わせないから、人の気持ちをわかろうとしてくれてるのね
一虎の心の優しさが、この子にも伝わったんだよきっと！
＿＿ねー？エリザベス･ベロニカ』
「ハナコです」
「Aさん、そろそろ覚えて下さい」
·
「･･･････俺は･･･」
褒められた一虎だが、彼はその言葉を素直には受け取れず、暗い瞳で俯いた
(俺は別に･･･優しくなんか･･･)
『私も知ってるよ』
「！」
『一虎が、本当はとっても優しいこと！』
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綾林檎 - あいこさん» とっても嬉しいです！ありがとうございます (2021年11月5日 8時) (
レス) id: 2125adda19 (このIDを非表示/違反報告)
あいこ(プロフ) - まだ途中までしか読んでないですが、キュンキュンしちゃいます！ (2021年11月2日 20時) (レス) id: 2a2413d9a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾林檎 | 作成日時：2021年10月20日 20時
