＃ くもり ページ1
＊＊＊
「 ……暑くね…、ヤバい 」
「 湯加減は如何です? 」
「 え、…否、丁度良い…ですけど 」
そうですか、と気味の悪いくらいに笑みを浮かべた女将さんは男湯の扉を開けてそそくさと帰っていった。
…女ッて今の世界だと男湯来て良いんだな。
やっぱり下界に来て正解だと思ってる。
茨城とか埼玉とか神奈川とか栃木とか千葉とか群馬にも進めたけど、やっぱり反対された。
なんだよ、青森は行ったらしいのに。
俺等も関東組で仲良くすればいいじゃん…!
「 …ぶぶぶぶぶ… 」
お湯に口を浸けてブクブクと泡を出す。
あーぁ、つまんね。
う"〜、早いこと帰って綿菓子食べよ…今の原宿のは甘過ぎ、程好くていーの。
けど刺身は超ウマイ!
んーまぁ、ほくほくの方が美味しいけどさ〜! 京都も美味しいものだな。
…京都は来ないのな。
まぁ別に女と来たかったわけじゃ無いけど、一人じゃ寂しいなぁ…なんて?
ま、来ないよなぁ。
帰ろ、オカネは置いとこ。
・
湯槽から彼が上がると、ヒュウウウと暖かい風が吹いた。
彼の真っ黒な黒髪が風になびいた。
その風の中から女と男がひとりずつ。
「 ん、ん、え、東京… 」
「 沖縄とほくほく…、如何したの、両端組さん 」
「 …… 」
チラ、と二人が目を合わせた後、北海道が口を開いた。
「 …ぼくたち…… 」
続く
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作者名：あらま | 作成日時：2019年8月10日 2時
