貰われる日 ページ2
「おいシア！」
酔っ払ったおじさん職員の声が響いて、自分の胸が高鳴るのがわかった。
ついに！イケメン(黄昏さん)に会える！
ライオンの人形を両手で包み込んでいる横のアーニャをチラリと見てから、顔を上に向ける。
「ウチで一番賢い、うるさいがまあ……いい子だろう」
うるさいは余計だろ、と思いながらとにかくイケメンを目に焼き付けようと黄昏さんの方をじっと見つめた。
「おねさま、こいつアーニャ達の悪口言ってる」
「いーの、いーの。もう終わりだから」
おじさんを見ながらこそっと伝えてくれたアーニャの頭をなで回してから、にこっと大人達に笑顔を見せた。
「こんにちはー」
うん、シンプルがいちばん。
完璧だ、と余韻に浸っていると、黄昏さんの眉を顰めた顔が視界に入る。
黄昏さんはふたりもいらないもんね〜、と思いつつも、何とかふたり同時に貰ってほしい私はとにかく思い付くままに口を開いた。
「私、6歳です！こっちのアーニャも！お父さんだかお母さんだか知らないけれど、親のせいで背が小さいだけです！」
「お前ら6歳だったか？」
おじさんの言葉を無視して、とりあえず原作に出てきたものを全て言い終わってから、アーニャをチラッと見る。
「あとこの子も！頭が良いんですよ！」
事前に男の人の脳内を読んでクロスワードを解くよう言っておいたのだ。
アーニャは任せろ、と言わんばかりのドヤ顔でペンを持った後、すらすらとマスを埋め尽くした。
しばらくの沈黙の後、黄昏さんは笑みを浮かべて言った。
「……ええ、この子たちにします！」
グッとガッツポーズを取った私を見て、黄昏さんは何となく引いていた。
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作者名：Y_Japan_ | 作成日時：2022年10月15日 23時
