長い一日�� ページ42
クン視点
会社が借り上げた体育館での練習中、三度目の長い休憩に差し掛かった。
皆の元を離れて荷物置き場にタオルを取りに行こうと、寒い館内とは違って暖かい廊下の角を曲がると、白い壁に背中を付けて座り込んでるAと目が合った。
足を胸に抱えて、小さく身体を丸めるように座っている。
あれ？
さっきまで体育館の中で、チョンロにバスケを教えてもらっていたような……？
いつの間にこんな所へ来ていたんだろう。
そうAを見下ろしていると、Aも何も言わずに僕の事を見上げる。
そのまま口を小さく閉じて、ゆっくりと瞬きをした。
どうしてか、そんな様子を最近どこかで見かけたような気がしなくもない。
僕もAも目を合わせたまま、ほんのコンマ数秒考えて、ようやく一つの場面を記憶から掘り起こすことに成功した。
たった今僕から見えるAの様子は、つい先日いきなりエネルギー切れを起こした時のルーカスにそっくりなのだ。
なるほど、あの時もこんな感じだった。
納得して心の中で手を打っていると、Aの薄い唇が動く。
「クンさん」
「うん……？」
「……何か、甘い物持ってませんか」
そう言ってまた口を小さくしたAを見下ろしながら、ペディンのポケットに手を突っ込む。
先のルーカスの件があってから、いつも何かしらをポケットに忍ばせていたのだ。
それ以上は何も言わない……いや、言えそうにないAの前にしゃがみ込んで、ポケットからチョコレートを一つ取り出す。
少し柔らかくなっているのは僕の体温のせいか、それともこの廊下の暖房が暑すぎるせいなのか。
フィルムを破ってそのまま口まで運ぶと、まるで自分が親鳥にでもなった気分になってしまう。
「おいしい？」
そう聞くとAがこくりと頷いて、僕を見ながらようやく奥歯でチョコレートを噛みしめた。
よく噛んで、溶けたそれが喉を通過していったのを確認してから、口の中にもう一つ突っ込んで様子を見る。
先ほどまでゆるやかだった咀嚼の動作は少しだけ軽くなってきた。
二つ目のチョコレートは無事に胃の中へ落ちて行ったみたいで、パタパタと睫毛が揺れたから、今度は飴玉をAの口へ運んだ。
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せの(プロフ) - ありがとうございます！楽しんでいただけたようで嬉しいです。またお暇なときにでも読んでいただければと思います！ (2020年8月7日 9時) (
レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - せのさん〜！沢山更新お疲れ様です！せのさんペンとしては突然の大量供給に飛び上がりました(≧∀≦)ジェミンとの回、私の予想では悠太くんも連れ込んで一緒にお泊りかなと思ってたので意外な展開にワクワクしました！！2人で映画みて寝落ちしたのも可愛かったです(^-^) (2020年8月3日 0時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - つきさん» ありがとうございます！気楽に書いたものをあげているだけなので、そこまで褒められると恐縮なのですがとても嬉しいです。またお暇なときにでも読みに来ていただけたらと思います！感想とても嬉しく、ありがとうございました。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 特に授賞式の章が好きです。いつも自己投影せず第三者の気分で紅一点を眺めているのですが、メンバーと同様紅一点の人間性に内実が詰まっていて、読むたび感動します。これだけ詰まったお話を書くのはきっと大変かと存じますが、応援しております。 (2020年7月24日 10時) (レス) id: 1c49931e2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2020年7月22日 10時
