２ ページ32
.
「そういえば……お前ら、髪の色も同じやったりする？」
日本名の隣に立っていたウィンウィンが頭を近付けると、お揃いのベレー帽がぶつかった。
くっついてまでオレ達に見せてくる髪の色は、重なりあった部分が同化すらしているように見える。
「今日の朝、美容室に連れていかれたらAもいて、マネヒョンが『同じ色にしてください』って」
「へえ、お揃いかぁ。可愛いね……あっ、」
テヨンアの言葉にとうとう日本名が両手で顔を覆う。
相当らしい。
かと言って今から撮影が始まるのに、一人だけ死んだ顔をさせるわけにもいかない。
「とりあえず……姉ちゃんに写真送るわ。あっ、ウィン子も一緒に」
「ユタのお姉さん？」
「ん。日本名の衣装について前からなんやかんや言ってたし」
「そうなんだ……」
「ほら、A。ヒョンが写真だって」
「だめだめ、余計に具合が悪くなってきた……」
「なんで？着替える前はお揃いで可愛いって散々言ってたじゃん」
「あの時はスカートだと思わなくて」
どうやら重症らしく、ベレー帽の下から見える耳は真っ赤になっている。
かと思えば外れた手の下から出てくる顔は絶望一色だ。
衣装の色とはまったく調和がとれていない。
こうやって眺めていると、小さい頃の日本名を思い出してしまう。
久しぶりに見る日本名はいつも、ばあちゃんの後ろに隠れてオレ達を恐る恐る覗いていた。
どれだけ仲良くなっても年に一度や二度しか会えないから、毎回会う度に同じことを繰り返していたのが懐かしい。今じゃこれだけど。
まったく、今も昔も仕方のないヤツだ。
「練習生の時だってお前スカートで踊ってたやろ、何を今更」
「ほ、本当だ……」
「衣装って言うか、色が可愛いからそんなに照れるんやろ？先に言っとくけど、ピンクならオレの方が似合うわ」
「まあ、それはそう。悠太くんよく似合ってるよね」
「オレもそう思うよ」
「いや、テヨンアも納得すんな、やめろ。ウィンウィンが一番似合ってるに決まってるやろ」
「ユタヒョン」
ウィンウィンと組みあいながらじゃれた甲斐あって、日本名が徐々に落ち着きを取り戻し始める。
結局、後から入ってきたヘチャニに周りをくるくると回られて、褒めちぎられるという攻撃を受けるまでの少ない時間だったけど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 996人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せの(プロフ) - ありがとうございます！楽しんでいただけたようで嬉しいです。またお暇なときにでも読んでいただければと思います！ (2020年8月7日 9時) (
レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - せのさん〜！沢山更新お疲れ様です！せのさんペンとしては突然の大量供給に飛び上がりました(≧∀≦)ジェミンとの回、私の予想では悠太くんも連れ込んで一緒にお泊りかなと思ってたので意外な展開にワクワクしました！！2人で映画みて寝落ちしたのも可愛かったです(^-^) (2020年8月3日 0時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - つきさん» ありがとうございます！気楽に書いたものをあげているだけなので、そこまで褒められると恐縮なのですがとても嬉しいです。またお暇なときにでも読みに来ていただけたらと思います！感想とても嬉しく、ありがとうございました。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 特に授賞式の章が好きです。いつも自己投影せず第三者の気分で紅一点を眺めているのですが、メンバーと同様紅一点の人間性に内実が詰まっていて、読むたび感動します。これだけ詰まったお話を書くのはきっと大変かと存じますが、応援しております。 (2020年7月24日 10時) (レス) id: 1c49931e2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せの
| 作成日時：2020年7月22日 10時
