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「さっきステージでウィンウィンと目が合ったでしょ？覚えてる？」
「覚えてる」
「いつもと状況が違ったから混乱したのかなぁ……一瞬だけ私の中で時間が止まって、そしたらウィンウィンが前にいて」
「うん」
「その瞬間『大変だ、間違っちゃった』って思ったの」
「えっ、どうして」
「だから、時間が止まったんだよ。そしたら頭の中で音が取れなくなって、今自分がどこにいて、何をしてるのかもわからなくなって」
「ああ、全部飛んだってこと？振り付けとかも？」
「そうそう。あんなの初めてだった。ステージに立つ時はいつも、一つのことだけ考えて集中してるから、絶対にそんなことなかったのに」
「Aには有り得ない事？」
「そうだよ。あっちゃダメな事」
こっちを見ることもなくAは頷きながら笑い、ずっとステージの奥を眺め続けている。
他のアイドルや、スタッフさんたちが遠巻きにオレ達の様子を伺って来るけれど、それすらも気にならないみたいだ。
普段は人の目を気にしすぎるほど気にする癖に、まるで何かに取り憑かれてしまったかのように、ステージの、そのずっと先から目を逸らさない。
だからオレは、たどたどしくもなんだか楽しそうに話すAの横顔だけを見つめる。
「それなのに今日はパッと意識が飛んじゃって」
「へえ」
「そしたら前にウィンウィンがいたの」
「A、びっくりしてたでしょ」
「びっくりしたよ。なんでこの人がここにいるんだろうって」
「……失礼すぎる。オレはいつも一緒にいるのに」
「そうなんだけど、ステージに立ってる時は皆の事を人形だと思ってたんだよ。チェスみたいに、頭の中で駒を移動させる感じ」
「変なの」
「なのに今日は……ウィンウィンが人形じゃなくて、ちゃんと本当のウィンウィンで」
「もっと変」
ステージの明かりが曲調に伴ってゆるやかに彩度を下げると、オレ達にまで届いていた光も少しずつぼんやりとした色に変わっていく。
まるで、夜が紫色を経て、黒色に染まっていくように。
その光のグラデーションが完全に落ちてしまうと、ペンライトの数えきれない程の光が色濃く浮き上がっていく。
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せの(プロフ) - ありがとうございます！楽しんでいただけたようで嬉しいです。またお暇なときにでも読んでいただければと思います！ (2020年8月7日 9時) (
レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - せのさん〜！沢山更新お疲れ様です！せのさんペンとしては突然の大量供給に飛び上がりました(≧∀≦)ジェミンとの回、私の予想では悠太くんも連れ込んで一緒にお泊りかなと思ってたので意外な展開にワクワクしました！！2人で映画みて寝落ちしたのも可愛かったです(^-^) (2020年8月3日 0時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - つきさん» ありがとうございます！気楽に書いたものをあげているだけなので、そこまで褒められると恐縮なのですがとても嬉しいです。またお暇なときにでも読みに来ていただけたらと思います！感想とても嬉しく、ありがとうございました。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 特に授賞式の章が好きです。いつも自己投影せず第三者の気分で紅一点を眺めているのですが、メンバーと同様紅一点の人間性に内実が詰まっていて、読むたび感動します。これだけ詰まったお話を書くのはきっと大変かと存じますが、応援しております。 (2020年7月24日 10時) (レス) id: 1c49931e2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2020年7月22日 10時
