BOSSMV ページ25
ウィンウィン視点
ずれにずれ込んだ撮影現場で、炎の奥に待機しているドヨンイヒョンとジョンウを眺めていると、衣装部のヌナが忙しそうに分厚いペディンをたくさん抱えながらオレに頼み事をしてきた。
「ウィンウィン、Aとジェヒョンにあんまり近付きすぎると危ないって言ってくれる？」
「え？」
「ほら、あそこ」
一瞬何の話か分からずに呆けていると、塞がった手を動かしてヌナがかろうじて指を差し示した。
その方向を追うと、ゆらゆらと揺れる炎の線の終点に、確かに二人の姿が見える。
手を翳して暖を取っているらしい。
ここに置いてある屋外用の電気ストーブじゃ足りないみたいだ。
昨日の日中こそAは不満を顔にも口にも出さずに過ごしていたけれど、昨夜にお化けがどうとかで呼び出され、部屋で話してた時は「今日は寒かったね」と思い返しては身を竦ませていた。
今日はもう日も落ちてしまったし、この寒さに耐えられなくなってしまったのかもしれない。
ヌナへ解ったと頷いてみせ、二人の元へ駆け寄る。
近付いてみるとニコニコしているジェヒョンとは逆に、Aはなかなか疎ましそうな顔でジェヒョンを見上げていた。
二人の名前を後ろから呼ぶと振り返り、二人揃ってオレに手を上げた。
「ウィンウィンも寒いの？ここ、すごく暖かいんだよ」
「かなり油くさいけどね」
「じゃあジェヒョンはあっち戻って、ばいばい」
「オレも寒いからここにいるんだけど？」
「さっきはそんなに寒くないって言ってたのに……」
何故か喧嘩を始めそうになる二人の背中を掴んで引っ張ると、少しだけバランスを崩して炎から遠ざかる。
「衣装焦がしたらウクライナに置いて行くって」
「げっ」
「本当に？」
「ウソ」
そのまま二人がもう一歩ずつ後ずさり「ここなら大丈夫？」とオレに聞いてくるけど、どうやら火元から離れる気はないらしい。
そうなると急にこの二人が危なっかしく思えて、もう一歩後ろに下がらせた。
遠くなってしまった炎に手を伸ばして、Aが「うう……」と寒そうに唸る。
ここまで来てみると解るけど、確かにここは暖かい。
火の熱量は偉大らしく、離れたところで恩恵は充分にある。だから我慢してほしい。
「何の話してたの？」
「Aが結構バカだって話」
「失礼な」
「……ジェヒョン、どうして？」
「特に理由は無いよ。ただ……いや、」
「うん？」
「ウィンウィンには内緒」
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せの(プロフ) - ありがとうございます！楽しんでいただけたようで嬉しいです。またお暇なときにでも読んでいただければと思います！ (2020年8月7日 9時) (
レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - せのさん〜！沢山更新お疲れ様です！せのさんペンとしては突然の大量供給に飛び上がりました(≧∀≦)ジェミンとの回、私の予想では悠太くんも連れ込んで一緒にお泊りかなと思ってたので意外な展開にワクワクしました！！2人で映画みて寝落ちしたのも可愛かったです(^-^) (2020年8月3日 0時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - つきさん» ありがとうございます！気楽に書いたものをあげているだけなので、そこまで褒められると恐縮なのですがとても嬉しいです。またお暇なときにでも読みに来ていただけたらと思います！感想とても嬉しく、ありがとうございました。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 特に授賞式の章が好きです。いつも自己投影せず第三者の気分で紅一点を眺めているのですが、メンバーと同様紅一点の人間性に内実が詰まっていて、読むたび感動します。これだけ詰まったお話を書くのはきっと大変かと存じますが、応援しております。 (2020年7月24日 10時) (レス) id: 1c49931e2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2020年7月22日 10時
