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この人だって物欲が全く無い訳ではないんだろうけど、とにかく気に入った一つだけを身に着け続けるタイプだと言う。
服はともかく、鞄や財布なんかはずっと同じものを綺麗に使っているし、ユタヒョンと違って仕事以外はアクセサリーもほとんど着けていない。
現に今だってそうだ。
Aヌナが面倒くさがりじゃないんだとすれば、たくさんの選択肢の中から一つを選ぶと言うのが苦手なのかもしれない。
とにかく前に一度、自分とオレがよく似ていると言ったヌナの事だから、理解してくれると思う。
こっそり聞かれようが、直接聞かれようが、誰かに買ってほしいと強請るような物なんて特に無いってことを。
「祝ってくれるなら言葉だけで充分に嬉しいんだけど」
「ううん、それじゃあダメだと思う」
「どうして？」
「祝う側って結構傲慢なものだよ。祝うだけじゃ飽き足らず、何か形にしてあげたくてしょうがないんでしょ」
「そういうもの？」
「少なくとも、私達のお兄さんはそうみたい」
「うーん……」
「だからジェミン、欲しいものが出来たら私にこっそり教えてくれるとうれしいなぁ」
そう言ってAヌナが笑うと、一瞬だけ小さく振動する音が響いた。
さっきお菓子を取り出したバッグの中からヌナがスマホを取り出し、ちらっとオレを確認してから立ち上がる。
「行くの？」
「うん。ミッションは終わったから」
「失敗したのに？」
「ジェミンが誰にも言わないでくれたら、これが失敗だなんてバレないでしょ？」
「へえ、オレが誰にも言わないと思ってるんだ」
「思ってるよ。誰かに言ったところで、そんなに面白い話でもないし」
何故か得意気に笑って見せたヌナが、バッグを肩に掛けて、本を手に持った。
なんだ、本当に行ってしまうのか。
という事は、この学習室がまたオレの貸し切り状態になってしまう。
そんな特権いらないんだけど。
Aヌナが来る前は一人でいても何とも思わなかったのに、ヌナがいなくなると思えばどうしても寂しく思えてきて、ここに一人でいる意味を感じない。
まあ、今日の課題が終わったってのも大きいけど。
Aヌナ、どこにも行かないでくれないかな。
ここじゃなくてもいいから、オレと一緒にいてくれたらいいのに。
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せの(プロフ) - ありがとうございます！楽しんでいただけたようで嬉しいです。またお暇なときにでも読んでいただければと思います！ (2020年8月7日 9時) (
レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - せのさん〜！沢山更新お疲れ様です！せのさんペンとしては突然の大量供給に飛び上がりました(≧∀≦)ジェミンとの回、私の予想では悠太くんも連れ込んで一緒にお泊りかなと思ってたので意外な展開にワクワクしました！！2人で映画みて寝落ちしたのも可愛かったです(^-^) (2020年8月3日 0時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - つきさん» ありがとうございます！気楽に書いたものをあげているだけなので、そこまで褒められると恐縮なのですがとても嬉しいです。またお暇なときにでも読みに来ていただけたらと思います！感想とても嬉しく、ありがとうございました。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 8c6ff02c0b (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 特に授賞式の章が好きです。いつも自己投影せず第三者の気分で紅一点を眺めているのですが、メンバーと同様紅一点の人間性に内実が詰まっていて、読むたび感動します。これだけ詰まったお話を書くのはきっと大変かと存じますが、応援しております。 (2020年7月24日 10時) (レス) id: 1c49931e2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2020年7月22日 10時
