２ ページ42
.
「今日はマスター、こっちに来ないと思ってたんだけど」
「続けるつもりですか？」
「うん」
「……まあいいや。来る予定は無かったんですけど、明日からシンガポールに行くじゃないですか、私たち」
「そうだね」
「宿舎のおばさんから電話が来て、最後にご飯食べて行きなさいって。もう帰っちゃったけど」
「あ〜、それで」
「おばさん、クーラーの設定温度について私にすごく愚痴ってましたよ。自分の息子も一緒だったって」
「男なんてどこの国も同じようなもんやな」
「私と悠太くんは今からご飯食べますけど、ジャニさんはどうします？」
「オレは食べるなんて一言も言ってへんけど」
不満そうなユタの言葉に耳も貸さず、Aがくるっと身体を回して冷蔵庫のドアを開けた。
中から色々と取り出してはくるけど、どれも牛乳と相性はよくないように思う。
最後に取り皿と箸を持ってきたAに向かって「マスター！私アイスティーが飲みたい！」と可愛い子ぶってウインクをして見せると、隣でユタが「私も〜！」と乗り始めた。
Aはオレ達のきゃっきゃと騒ぎ出す声に面白いとも面白くないとも言わず、バラバラのマグカップでお茶を渡してくる。
なんだか一気に所帯じみてしまった。
さっきまでドヨンの作ってくれた氷のおかげで、少なからず雰囲気の良さは演出されていたのに。とても悲しい。
「ジャニさんスープは？」
「もらおうかな」
「オレはいらん、ご飯も別に」
「悠太くんは絶対食べて。体重減ったんでしょ、マークが怒ってたよ」
「減ってない。マークは怒らん」
「ちょっと……ジャニさんもこの人の事どうにかしてくださいよ。しかもこんな寒い部屋でいつまでもペラペラなタンクトップのまま……」
「日本名はそう言うけど、ジャニなんて上半身裸やん」
「ジャニさんは悠太くんと違っていかにも丈夫そうな身体してるでしょ」
「えっ、Aに心配されないのはちょっと寂しいかも……うっ、なんだか突然具合が……」
「ほらな」
「もー！なんなんだこの人達は……！マークが、マークさえいれば……！」
Aがオレと悠太を前にして憤慨したように怒り始め、カウンターから離れてソファに走り出す。
薄手のブランケットを手に取ったと思ったらオレの身体をぐるぐる巻きにしようとするけど、残念ながら布面積が全く足りてない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せの(プロフ) - よよさん» ありがとうございます！こちらこそたくさん読んでいただけてとっても嬉しいです！最後まであと少し頑張るのでよろしくお願いします〜！ (2021年3月15日 21時) (
レス) id: f4b310de98 (このIDを非表示/違反報告)
よよ - 終わっちゃうの寂しいですが、こんなに良い小説を長く書き続けてくださってありがとうございました。好きすぎて何回も読み返しています。最後まで応援しております！ (2021年3月15日 16時) (レス) id: 736e832086 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます〜！長かったようで短か……長い小説もやっと終わりを迎えられることが出来そうでうれしいです！☆ありがとうございます！がんばりま〜す！ (2021年3月15日 15時) (レス) id: 3487bfc826 (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - ついに次で最終章なんですね(;_;)凄く大好きな作品なので長かったような短かったような...という少ししんみりした気持ちです(;_;)☆を押すことしか出来ませんがNCTの紅一点、最後の最後まで応援してます！ (2021年3月15日 14時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - mmmabcさん» ありがとうございます！完結！燃え尽きたいです！ (2021年3月15日 8時) (レス) id: 3487bfc826 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せの
| 作成日時：2021年2月1日 10時
