シカゴ ページ29
マーク視点
真夜中、水を飲みにジャニヒョンのリビングを降りると、大きなソファにAが一人で座っていた。
とっくの前に寝ていると思ったのに。
Aがオレを見て、何も言わずに小さく手を振ってくる。
「何してんの、人の家で」
ジャニヒョンの家に泊まることになった時、まさかAも一緒に泊まることになるとは思わなかった。
多分Aも思ってなかったんだろう。
ああだこうだ言ってる間にヒョンのお母さんから引き留められたのだ。
日中のAと言えば、ジャニヒョンのお父さんが焼いてくれる肉もそこそこに、ヒョンのお母さんと室内に戻っていって、長いことアルバムをめくっていた。
Aがそれを開いている間、入れ替わり立ち代わりで皆が小さい頃のジャニヒョンを眺めていったけど、Aだけはずっとその場に座りこんでいた。
たまに「まだ見てたの」と若干照れ混じりで尋ねてくるジャニヒョンへ写真の説明を求めたり、定期的にAの元へ来てくれるヒョンのお母さんから昔話を聞いていた。
それも、やけに真剣な顔で。
その姿は、まるで小さい子供のように見えた。
絵本の読み聞かせをねだっている、物語に夢中な少女みたいに。
ちなみに、自分の母親の口から繰り広げられる過去の逸話を遠巻きに聞いていた今日の主役は「脚色が混じりすぎ」と顔をしかめていた。
「さっきまでお母さんと話してたんだけど、私はまだ眠くなくて」
「A、人の家だと眠れないタイプ？」
「ううん、多分。違うと思うけど」
ソファに座ったままのAがオレから視線を外して、そのまま窓を眺める。
Aに対する位置にある、テラスへ続くガラスの扉だけはカーテンが閉められていない。
じっと外を見上げるAの隣まで行き、足元にしゃがみこんで同じように外を見るけど、遠くに月が浮かんでいるくらいでさほど特別なものではない。
「……本当に眠くないの？」
「眠くないよ。マークは？」
「ヒョン達も起きてるし、オレもまだ」
「そっか」
「うん」
頷いたAは別に何の反応も無く、まだここから動く気はないらしい。
何も言わずにたっぷり考えて、カチコチと聞こえる壁掛け時計の音を聞きながら、Aに一つ提案をしてみた。
「テラス出てみる？」
.
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せの(プロフ) - よよさん» ありがとうございます！こちらこそたくさん読んでいただけてとっても嬉しいです！最後まであと少し頑張るのでよろしくお願いします〜！ (2021年3月15日 21時) (
レス) id: f4b310de98 (このIDを非表示/違反報告)
よよ - 終わっちゃうの寂しいですが、こんなに良い小説を長く書き続けてくださってありがとうございました。好きすぎて何回も読み返しています。最後まで応援しております！ (2021年3月15日 16時) (レス) id: 736e832086 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます〜！長かったようで短か……長い小説もやっと終わりを迎えられることが出来そうでうれしいです！☆ありがとうございます！がんばりま〜す！ (2021年3月15日 15時) (レス) id: 3487bfc826 (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - ついに次で最終章なんですね(;_;)凄く大好きな作品なので長かったような短かったような...という少ししんみりした気持ちです(;_;)☆を押すことしか出来ませんがNCTの紅一点、最後の最後まで応援してます！ (2021年3月15日 14時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - mmmabcさん» ありがとうございます！完結！燃え尽きたいです！ (2021年3月15日 8時) (レス) id: 3487bfc826 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年2月1日 10時
