２ ページ21
.
オレもその輪に入りたいけれど、なんとなく無条件で喜んではいけないような気がして、その場で立ちすくんでしまっている。
そうしているとウィンウィニヒョンがそんなオレに気付いて近付いてきた。
「ロンジュン」
母国の発音でそう呼ばれ、なんとなく抱えていた不安が確信に変わり始めている。
これはきっと、またなにか新たな行き違いが生まれたんじゃ……
「な、なんですか」
「Aにチソンが傘を渡したとき、お前は近くにいたか？」
中国語で始まったこの会話は、おそらく喜んでいるメンバーには聞かせられない話の内容なんだろう。
「いや、オレ達は遠くから見てただけで……」
「何を話してたかは？」
「聞いてない、けど」
「じゃあ会話の内容はAとチソン知らないんだな」
「多分。チョンロも聞かなかったんじゃないかな……というか二人とも、そこまで話してる様子じゃなかったような」
「どういう事？」
「チソン、Aヌナに傘渡して何か言ったあと、すぐこっちに戻って来ちゃったし」
「そっか……」
「ねえ、お願いだからヒョン、悪い知らせなんか本当は何も無いんでしょ……？」
「……」
「ああ、ヒョン……」
心の中で『頼む、頼む』と神頼みしても、なかなか天には届いてくれないようだ。
もしかしたら日頃の行いが悪かったのかもしれない。
いやいや、冷静に考えてオレの日頃の行いより、チソンのAヌナへの行いが悪いんだ。
「オレが聞いた話だと、チソンから傘はいらないって……返さないでいいって言われたみたいで」
「はい？…………いや、ちょっと待ってください、もしかして、」
「Aは、自分の使った傘をチソンが二度と使う気は無いんだろうって」
「そ、そんな……」
「だから新品の、誰も使ってない傘をチソンへ買って渡さないとって、ずっと……」
思っていたより事態は深刻だったらしい。
途端に前を見るのが怖くなって顔を両手で覆うと、ウィンウィニヒョンがオレの肩に手を置いた。
「ロンジュン、世の中どうにもならない事もある」
「ヒョン……」
「それが二人の運命なんだとしたら、オレ達はそれに手を出せないんじゃない？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1408人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いお - 血つながってる・・・？繋がってない・・・？ (2021年2月6日 1時) (
レス) id: 685ff8592b (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - せのさん» わ〜！！またせのさんの書くNCTが読めるって考えただけでもう楽しいです（ ; ; ）私の感動を伝えたかっただけなのでレス不要です！返信ありがとうございました！ (2020年2月12日 18時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - もさん» ありがとうございます！何度も読んでいただけて嬉しいです！ちょこちょこ書いてるので纏まってきたらアップしたいと思います〜！ (2020年2月12日 8時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - 最近NCTに沼入りしましてこの作品を何十回と読み返しています！NCTの紅一点を書かれてる方は他にもいらっしゃるのですがせのさんの紅一点が世界で一番すきです、、、（ ; ; ）せのさんの気分が乗ったときで構わないのでまたせのさんが書くNCTのお話が読みたいです^ ^ (2020年2月7日 0時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - alexandrite_bbcさん» ありがとうございます。簡単に書けるようなものではないので予定は無いですが、また機会がありましたら (2019年11月27日 8時) (レス) id: c619cb401b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せの
| 作成日時：2019年11月4日 16時
