【名探偵コナン】風見さんちの妹さん３【降谷零】

94. ｰ警察庁幹部会議ｰ ページ7

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「──で、どうかね。彼らの働きは」

警察庁の円卓大会議室。会議室の中央部のみ灯りに照らされ、異質な雰囲気を漂わすこの場で男が低く問いた。

男の周りには濃紺色の制服を纏った警視監やその補佐に回る警視以上の階級を肩書きにおく幹部クラスの官僚達が思案顔を拵えて着席していた。
その中には警視庁刑事部参事官の黒江田賢吾警視正も列席している。

「想像以上ですよ。彼らのお陰でこの東都に巣食う犯罪組織が既に十を越えて検挙されています」

そう答えたのは【革新派】警察庁警備局長 黒江田宗二警視監である。

「自慢のムスコが率いる精鋭部隊だもんなぁ。黒江田警視監もさぞ鼻が高いだろう」

男、【保守派】警察庁長官 高神信武が薄笑いを浮かべる。

黒江田警視監は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ気まずそうに視線を下に逸らした。机の上で握っていた手を開き、そして強く握り固める。何度かその仕草を繰り返す姿を見て高神長官が鼻白んだ。

「まあ順風満帆と言ったところだな。鳩宿公安委員長もこの働きぶりを見て即刻に認可してくれればいいものを。何を渋っているのやら」

高神長官を隣の席で見守っていた【革新派】警察庁次長 櫻田伊三郎が溜息混じりに首を横に振った。

「そもそも警察庁は警察諸制度の企画立案、警察行政の調整監察などの管理機関であって法を執行する立場にはありません。
それを行うのはあくまで警視庁。我々が今、企画･進行している例の“力”をつければ警視庁の存在意義が薄らぎます。それに──」

「いいんだよ、そんな事は。悪い奴らは警察が捕まえるもんだ。私らだって警察官なんだから」

高神長官が不機嫌そうに櫻田次長の話を遮った。

「長官」

「黒江田警視正が書いてあったろ。元々この案件はアイツが提案してるんだ。私にこんな分厚い建白書を寄越してな」

高神長官はそう言うや円卓の中央に書類の束を投げた。表紙には《警察機構維新改革建白書》の文字。警察改革の要綱がこの中にうんざりする程びっしりと書き綴られている。

作成した建白書が雑に扱われる光景を無感情に眺めていた黒江田警視正は嘲るように口元を歪めた。櫻田次長はその様子には気付かないまま、またも深い溜め息をつく。

「それを良いように長官が捻じ曲げて解釈しただけではありませんか」

「口を慎めよ。櫻田次長」

「…………。」

二人の間で静かに火花が散る。高神長官と櫻田次長はすこぶる仲が悪いので有名だ。

国家公安委員会が傲慢な態度が目立つ高神長官の牽制役として、敢えて櫻田次長を警察庁のNo.2に据えたのも皆が周知している事実だった。

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