114. ページ27
Aが前のように不機嫌にならなかった事に安心したのか安室は言葉を続けた。
「もう誤魔化さないでもいいんですよ。分かってますから。Aさんのご職業は潜入捜査を許可できる部署に属する警察官。貴女の働いていた泉里、先日潰れましたよね。
情報によると泉里には麻薬を扱うシンジケートが巣食っていたと聞きます。
貴女はそこに潜入することにより情報を得て、内部から手引きし崩壊させたのではありませんか?」
図星過ぎて内心焦ったが、はいそうですと言わんばかりのあからさまな表情は作らなかったはずだ。
「やだなぁ、安室さん。何言っちゃってるんですか。私はただの一端の調理師ですよ。生まれてこの方、警察マニアが一度は憧れる
言葉を取り繕うがもう誤魔化しは効かないんだろうなと薄々思ってはいる。安室は何をもって確信を得たのだろうか。どこから情報が漏れた?
「ちなみに貴女が警察官だと言うのは屋戸久志警視からのものです。彼からはっきりとお聞きしましたし、お友達だという情報も」
ここで凍りつく。
え、嘘、あいつが言ったの?
いやまあ、ハトヤは隠し事が人一倍下手な事は知っているんだけれど、一体いつ?
……そうだ。そうか。
少し前に
屋戸がそんな人は知らないと無理矢理話を切ると、納得いかなかった安室が杯戸町のSOFの分室があるビルまで尾行してきたと聞いた。
あの時にばらしたのか。でも鳩宿を尋ねる前に
それなのに鳩宿は喋ったというのか。
「あ、あー……屋戸くん、ね」
長年の付き合いだ。平然と嘘がつけない、鳩宿がそういう性分であるのは重々理解している。
だが、そんな鳩宿でも当然線引きはする。Aのことを話したのが、個人の判断だとは思えない。
けれど、そんなことはもういい。
完全にバレている。必死に隠そうとするだけ無駄だ。
Aは、なるようになれと諦めることにした。
安室透が自ら口にしたように、Aも安室……降谷零も“同じ立場の人間”なのだ。敵対する組織の人間でもない。
バレたところで、仕事に関しては“部隊”について言及しなければ何も害は無いのだ。
ただゼロの降谷零は、兄である公安部の風見裕也と接点があるからあまりバレたくない、そちらの思いの方が非常に強い。
「ハァーーー」
長く深い溜息をついた。
軽く両手をあげて降参のポーズをとる。
「ギブアップです!安室さんの執念には負けましたよ」
1759人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カリリン - とても、いいお話です! (2022年9月12日 22時) (レス) id: ff3a9a5512 (このIDを非表示/違反報告)
カリリン - 続きが気になります。お願いします。 (2022年9月12日 22時) (レス) @page31 id: ff3a9a5512 (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - 絵理奈さん» カタツムリより遅い速度で少しずつ進んでおります(--;)仕事が終わると直ぐに眠りこけてしまうので中々執筆出来ない状態が続いており本当に申し訳ないです……。 (2019年9月5日 0時) (レス) id: 21be2ba57f (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - お話まだ進まないですか? (2019年9月4日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - (名前)りんくらさん» 書き直しが一応完了したのでお知らせします(*^^*) (2019年4月11日 3時) (レス) id: ee011761e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:笑福 | 作成日時:2018年11月24日 0時