【名探偵コナン】風見さんちの妹さん３【降谷零】

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その後にも横断歩道での事故、大型トラックの内輪差による事故、死角での事故、右直事故など不注意で遭遇してしまう事故の数々が演出されていった。

「僕、絶対交通ルールは守ります」

「俺もあんな目に遭いたくないぜ……」

この安全教室の効果は絶大のようだ。元太達や周りの子供達も実演を見て戦々恐々としている。これで交通事故が少しでも少なくなれば警察官の身としては嬉しい限りだ。

「はい皆さん！如何でしたでしょうか。交通事故の怖さ分かりましたか？それでは今回スタントマンとしてこの教室に参加して頂いた方々の紹介に参ります」

進行役の婦警が横に並ぶスタントマンの紹介を始めた。もう教室は終わり。時間も惜しいので次の場所に移動した方がいいだろう、と考えた矢先だった。

婦警の真横に立つ、黒のつなぎにプロテクター、ヘルメットの通常装備に加えてちょっとイケてるサングラスを掛けた男。妙に悪目立ちしていたその男がマイクを握った。

「どうもー！警視庁交通部の八朔日でーす!!」

聞き覚えのあり過ぎる声が会場内に響く。
思わず首をすくめた。

「Aさん？」

安室が怪訝そうに顔を覗き込んでくる。
やばい。

「マイクの音量が大きくてびっくりしちゃって……(何でこんな所に八朔日さんがいるのー!?)」

八朔日重隆はAと同じ部隊所属の警視。

警察庁お抱えの部隊が国家公安委員長に許可されるまでの兼職として交通部の交通執行課長を務める八朔日は今朝方オフィスで別れたばかりだ。この人も休日出勤だったのか。お疲れ様過ぎる。

と言うか、何故安全教育のスタントマンの仕事なんかをしているんだ。

「良い子のみんなは交通ルールをしっかり守ってねぇ」

因みにAが石川、鳩宿が屋戸などの偽名で警察官生活を送っているのに対し、八朔日は警察内でも身元を偽っていない。特殊部隊員は常に名を伏せていなければならないのに、だ。

部隊結成の案が提出されたのは立案者の黒江田賢吾＝先輩が入庁して間もない六年程前で、その時八朔日は官僚としては異例の現場警官だった。警備部機動隊の爆発物処理班の班長だったはず。

その物珍しさもあり、警察内部で途中から偽名を名乗る事は不可能な状態だったのだ。警察内の有名人。知られ過ぎていた。だがら偽ることなくこうして本名を表に出している。知名度は圧倒的に八朔日が上だが、これは倉木にしても同様だった。

ただ確か、機密事項を多く記録している不開示の裏データベースには婿養子になる前の旧姓で登録してあったはずだ。
八朔日は宮なんとかさんで倉木が黒なんとかさんだったはず……。

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