107. ページ20
空を見上げると湾岸署のヘリポートに着陸するのだろうヘリの影があった。目的地はここだったようだ。
その直後に、警察車両が進入するので速やかに道を開けてくださいというアナウンスも入った。その放送を聞き入れ、次々と人が道の端に捌けていく。
「何だか騒々しいですね」
その安室の呟きが合図になったかのように、湾岸署に次々と警察車両が進入してきた。
黒のプレセアやワゴン系の覆面車が三･四台程止まり、険相を浮かべた刑事達が署内の方に駆け足で入ってゆく。丁度、玄関口付近にいたAは刑事達の胸のバッジを瞬時に確認した。
(警視庁の捜査一課が来たのか……でも、バッジ付きじゃない人もいた。あれはどこの部だろう。公安部？)
刑事部と公安部、それに所轄署の合同捜査となるとまさに水と油。どんなに優秀な管理官が指揮に回っても捜査は間違いなく難航するだろう。まず、情報の共用は望めまい。管理官が公安部の者であれば終わりだ。
ただ先程到着した刑事の数は十人前後。特捜本部(特別捜査本部)に割り振られた警視庁の人員にしては少ない。となると、帳場は既に設立されていてその増員なのかもしれない。なら事件は余程厄介なものなのだろう。海浜公園の事件か。
「どうしたの？Aさん」
クイッと服の袖を引っ張られた。見るとコナンが小首を傾げてこちらを見上げていた。
「あぁ……何にもないよ。刑事さんかっこいいなぁって見入ってただけ。私、刑事ドラマ好きなんだー。ほら、踊○○○査線とか相○とか。あ、世代違うか」
「へぇー……そうなんだ」
明らかに怪しんでいる。無言でこちらを見詰めている安室もAの事を訝しげに思っているのだろうか。
「もうスケアードなんちゃらのヤツ始まっちまうぞ!!」
「えぇ!?急がなきゃ！」
「コナン君、Aさん、安室さん！行きますよー！」
元太、歩美、光彦の三人が安全教室が開かれる駐車場の方に駆けていく。内心ホッとする。
「子供達はホントに元気ですね。その元気、分けて貰いたいくらいだ」
「ですよね。小学生とまでとは贅沢言わないから、せめて高校生時代に戻りたい」
「ほんとに。……歳はとりたくないものです」
駐車場に着くと既に安全教室は始まっていた。三人を見つけ、声を掛けてその後ろにつく。
最初は見通しの悪い交差点での自転車同士の衝突事故の再現。黒いツナギにプロテクター、ヘルメット、それに不必要そうなサングラスを付けた男と別の男が猛スピードで各道を走り抜け、最終的に交差路で衝突した。
歩美が「きゃ！」と悲鳴を上げる。
やっぱり子供は怖いよね。
そっと「大丈夫大丈夫」と頭を撫でた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1759人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カリリン - とても、いいお話です！ (2022年9月12日 22時) (
レス) id: ff3a9a5512 (このIDを非表示/違反報告)
カリリン - 続きが気になります。お願いします。 (2022年9月12日 22時) (レス) @page31 id: ff3a9a5512 (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - 絵理奈さん» カタツムリより遅い速度で少しずつ進んでおります(--;)仕事が終わると直ぐに眠りこけてしまうので中々執筆出来ない状態が続いており本当に申し訳ないです……。 (2019年9月5日 0時) (レス) id: 21be2ba57f (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - お話まだ進まないですか？ (2019年9月4日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - (名前)りんくらさん» 書き直しが一応完了したのでお知らせします(*^^*) (2019年4月11日 3時) (レス) id: ee011761e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：笑福 | 作成日時：2018年11月24日 0時
