98. ページ11
『今日はどうしたの？お願いがあるって聞いたんだけど』
『もう少しで安室さんが来ると思うからちょっと待ってっ!!』
そう言われてしまったので待ち時間に珈琲でも、と注文を頼もうと梓を呼び止めたちょうどその時。安室が入店してきた。タイミングの善し悪しは一先ず置いておく。
Aと安室の視線が一瞬交わり、Aは『透さん、こんにちは』と笑みを送った。
『こんにちは。Aさんも子供達に？』
『えぇ、何だかお願い事があるらしくて。休みだからいいよって来たんですけどまだ詳細は聞かされてません』
『僕も先程マスターから子供達が呼んでいるから時間があれば来て欲しいと電話を貰って』
などと話し込んでいたAと安室の間に光彦が『お話の最中失礼ですが！』と割って入ってきた。壁掛け時計で時間を確認しているところを見るとどうやら時間はあまり無さそうな頼み事のようだ。
『今日、安室さんとAさんにお願いしたい事はズバリこれなんです！』
『東都湾岸警察署、春の交通安全運動??』
その言葉を聞いてAは内心ギクリとした。湾岸署は警察大学校の初任科後に研修で派遣された署だった。イコール顔見知りが多い。身元を隠さなければならないAにとって最も危険な場所である。
入庁当初は部隊結成もまだだったし先輩に頼んで先輩の父親(現警備局長)に、兄に警察官になった事がバレぬようにどうにか計らってもらったが流石に初っ端から変装で過ごす訳にもいかず容姿はそのままだった。
湾岸署員にとってはAの通常の姿が、警察官のAなのだ。他では石川立樹と名乗って警察の仕事をこなしているAのことはまず知らない。だから声を掛けられるに違いないので今度こそ誤魔化しきれない。
取り敢えず後で御手洗に行くふりをして署長に連絡を入れて自分の事は見て見ぬ振りをしろと念押しするしかないか。
『おうよ！本当は今日博士が連れてってくれる約束だったんだけどな！車が壊れたとか言ってよ!!』
『だから、代わりにお願いしたいなって事になったんだ。僕達が知ってる車の免許持ってる人って限られてるから。小五郎のおじさんは競馬に行ってるし』
『だから私達に。私に関しては勘だよね。免許の事とか話してないし。実際持っているけども』
『この世の中だもん、持ってない人の方が少ないんじゃないかな？』
『まあね』
『でも、この人数じゃ僕の車では到底無理ですよ。Aさんは？』
『私のも無理そうですね。大丈夫です、大抵こんな事だろうとは思ってたので友人のバンを借りてきました』
ドヤ顔を作って親指を立てる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1759人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カリリン - とても、いいお話です！ (2022年9月12日 22時) (
レス) id: ff3a9a5512 (このIDを非表示/違反報告)
カリリン - 続きが気になります。お願いします。 (2022年9月12日 22時) (レス) @page31 id: ff3a9a5512 (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - 絵理奈さん» カタツムリより遅い速度で少しずつ進んでおります(--;)仕事が終わると直ぐに眠りこけてしまうので中々執筆出来ない状態が続いており本当に申し訳ないです……。 (2019年9月5日 0時) (レス) id: 21be2ba57f (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - お話まだ進まないですか？ (2019年9月4日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - (名前)りんくらさん» 書き直しが一応完了したのでお知らせします(*^^*) (2019年4月11日 3時) (レス) id: ee011761e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：笑福 | 作成日時：2018年11月24日 0時
