男子高校生の日常 “赤”

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それからAちゃんから聞いたのは







俺が好きになるよりもずっと前から俺のことが好きだったらしい。



チャンスを伺ってたら



パン売り切れて泣きそうな俺にチャンス！と思って話しかけたらしい。









．









「はぁぁぁぁぁ、俺よりも前から好きやったん」


『1年生の時からね』


「うわぁぁぁぁぁぁまじかよ！」








．








．







それから聞いたAちゃんちの家の事情






Aちゃんちは大学生まで恋愛が禁止らしい

そして母親の厳しさが異常じゃないらしい

今日も後夜祭の参加は土下座して許してもらったって

門限は6時

の所をAちゃんがねだりにねだって

8時にしてもらったとのこと






要するに

俺はAちゃんとは隠れて付き合わなければならないということ。








．






「家、厳しいんや」

『………うん、そうなの』







家が厳しいのが小さい頃からコンプレックスだったらしい


友達が夏祭りとかに行く中


Aちゃんは家から出るのすら許されない時間帯。


夜遊びに行く時はAちゃんの親同伴。








．








Aちゃんの気持ちも分かるけど

両親の気持ちもよく分かる。


俺は男だからあれやけど

Aちゃんは女の子

そして、めっちゃかわいい

もしもの時があったら、そりゃ両親だって辛いよな









．









．







『大毅くん、』


「んー？」


『こんなに家厳しいけど…私の事嫌いになったりしない…？』


「なんで嫌いになるんよ」


『だって私、夜出かけるとか無理だよ…？』


「おん」


『大毅くんが私の家に来ることもできないよ？』


「そやなぁ」


『成績落ちたら真っ先に彼氏が出来たんじゃないかって調べ出すよ？』


「そ、それは困るなぁ、」


『………』


「でも、Aとならええよ」


「できるだけ隠し通すけど、もし見つかっても、俺は離れていかないから」







『っ、今っ、Aって……』


「気づいた？」



って笑うと


気づくよ！って笑い返される









．









．







こんなに可愛くて仕方がない人間を

手放せるわけないやん

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