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お兄さんは私とお父さんを見るなり
お父さんに掴みかかった
そしてお父さんを1発だけ殴り窓の方に投げ飛ばす
その一瞬にお兄さんは私の腕を引く
「行くぞ」
お父さんは打撲したのか痛がりながらも
私の名前を叫び続けた
お兄さんは容赦なく私の腕を力強く引っ張る
私は近くにあった自分の携帯を持ち
立ち上がる
お兄さんと一緒に家を抜け出す
でもお兄さんの足は止まらない
お兄さんは足が早くて
それに追いつくのに必死で
声も出なかった
近くの公園のベンチに2人で腰掛ける
ぜえぜえ言ってる私の横で
なにか携帯を取りだし操作しているお兄さん
息も休まっていき声を出せるようになった
『…お兄さん』
そう呟くと
「ごめん…早かったよな」
『…そんなことない…助けてくれて…』
.
ありがとう
.
その一言が出てこない
代わりに
涙がこぼれ落ちる
.
信用していたお父さんに
暴力を振るわれた
そして暴言を吐かれた
体を触られようとした
それが怖くて
辛くて
悲しくて
「大丈夫…大丈夫だから」
私を優しく抱きしめそう唱えるお兄さん
「…俺が…助けるよ」
そう言って私を抱き抱える
『…!?』
びっくりしてお兄さんを見ようとするけど
お兄さんの肩に私の顔が乗った状態だから
見えるのはお兄さんの耳だけ
ピアスも何もつけてない
綺麗な耳
お兄さんは私を連れてどこかに行く
本当なら身元も知らない人に連れていかれるのは恐怖だけど
お兄さんだから
怖くなかった
.
少し歩いたところでお兄さんは私を降ろす
そこは小さいアパートだった
「…俺の家」
そう言って鍵をあけてはいる
『………おじゃまします』
靴を脱いで部屋に上がる
お兄さんの部屋は何も無かった
テレビも机もソファも
あるのは大量のダンボールと
毛布と
ダンボール1個のうえに乗ったノートパソコンだけ
生活感が無さすぎて
不思議に思う
「…なんもなくてすまんな」
『…ううん、そんなことない…けど』
あまりにも生活感が無さすぎる
『………いつも…何食べてるの』
そう聞いてみると
「………カロリーメイト」
言われてみれば部屋のあちこちにカロリーメイトが転がっている
.
よく生きて来れたね
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ジャニヲタ - 続き見たいです!お時間あればお願いします!!!(゜゜)(。。) (2019年11月30日 19時) (レス) id: abb62d7945 (このIDを非表示/違反報告)
汐音(プロフ) - ぜひ続きみたいです! (2019年11月30日 0時) (レス) id: 46b1829e02 (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - すかるさん» コメントありがとうございます。ありがたいお言葉を頂きうれしいです。旅行いいですね ! ぜひ書かせていただきます! (2019年11月29日 15時) (レス) id: 2f0de3ff8f (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ほんとにすごい面白いです。リクエストなんですが2人でお出かけとか旅行とかどうでしょうか!このまま最終章まで飛ばすのもお話が気になるのでありですが、もう少し2人の掛け合いをみたいです!面白くてずっと見てます!頑張ってください! (2019年11月29日 15時) (レス) id: 29ad0ae920 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてと | 作成日時:2019年11月26日 7時