隣人関係から始まりました【北信介】

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「大した話できなくてごめん
1番悪いのは自分自身なのに情けないなぁ」



悲しそうな表情をしたAは自分を落ち着かせる為に冷めたお茶を一気に飲んだ



Aの過去は大体理解した



突然大声を出した訳



今日の遭遇でトラウマが蘇った事



その柳田千草にやられた事



キャプテンだった先輩と約束した事



優しいから誰にも言えなかったのだろう



自分が悪いと他人を絶対に責めないのもその優しさからだろう



……本人には言えないが、柳田千草の意図は分かった



柳田千草はAに忘れさせない為にいろんな事して記憶に刷り込んだ



そんな努力をするなら振り向かせる方法を考えろ



「俺は無理矢理忘れようせんでもええと思う
嫌な事は楽しい事沢山できれば薄れてく
これから3年間ずっと振り回されるんは嫌とちゃうか」



「……うん、嫌」



ぎこちなく動く頭を見て、本当に人を頼るのが苦手なんだなと改めて思った



「もう一人で考えるんはやめい」



「……分かった」



Aは力強く頷いた



「話聞いてくれてありがと
……もうこんな時間か
お腹減ったでしょ
これから夕飯作るけど信介食べてく？」



「ばあちゃんに聞いてみるわ」



エナメルバッグから携帯を出し、通話ボタンを押した



「もしもし、ばあちゃん」



「信ちゃんかい？まだ家に帰っとらんよね」



「うん
雨宿りさせて貰ってて、夕飯どないしよ思って」



「珍しいなぁ……信ちゃんがお友達の家に居るん？
なら、友達と食べればええよ」



「ありがとう」



そして電話を切った



「……夕飯食べてく」



「了解、何か食べたいものある？」



「……豆腐ハンバーグ」



「豆腐ハンバーグね、作れるよ
後スープと味噌汁どっちが良い？」



「味噌汁」



「分かった」



キッチンに立ったAは手際よく材料を混ぜていき、20分位で調理が終わった



出された料理は豆腐ハンバーグとほうれん草の味噌汁、人参とピーマンの金平、蛸と胡瓜の酢の物



和風の一汁三菜が完成していた



「あの短時間で作ったんか」



「コツを覚えれば料理って簡単に出来るんだよ
さぁ、冷めない内にどうぞ」



「……いただきます」



俺は手を合わせてそう言った



……………



北さんの好物が豆腐ハンバーグって可愛すぎですよね
練君の悩みも可愛すぎる

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