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顔を振って逃れたいのに、うしろ手に縛られ、顎をとらえられていては逃げることも叶わない。
「ん。ぅぅ…」
伏せたヒカの睫毛の先が、不安げに揺れていた。
「ねぇ、口開けて」
唇全体を覆うように触れて、チロチロと濡れた舌に結び目をつつかれて催促される。
頑なに歯を食いしばっていると、顎の関節に指が強めに食い込んだ。
「ぁっ…!」
声がこぼれたとたん、歯列を押し開いて舌が口腔内にねじり込まれる。
おびえて喉の奥に引っ込めた舌を、深くまで追いかけるように侵入してきたそれを押しやろうとして、逆に強く絡みつかれた。
「あん…っ、んぅ…っ」
舌を絡め合っていると口の中に唾液がたまってきて、裕翔の舌が動くたびにピチャピチャと水音を立てるのがたまらなく恥ずかしい。
それでも……裕翔が与えてくれるキスは気持ちよかった。
頭がぼんやりしてきてヒカの抵抗がやんだとき、裕翔は勝ち誇ったようにクスッと笑う。
「ヒカ、俺のキスで感じてるよね?」
そんな言葉に、残った理性を総動員して相手を睨む。
「ゆうと、もうこんな事するの、やめろって」
「嘘つけ、感じてたくせに」
片方の口角だけを上げてクールに微笑む裕翔が、まるで知らない人みたいだった。
いつの間に彼はこんな大人びた表情をするようになったんだろう。
整った容貌に、均整の取れた逞しい体躯。
男も女も、選り取り見取りなのに…。
いったいどうして、俺にこんなことするの?
「あ…っ、いやだ…っ、ゆぅ…と」
いきなり鎖骨あたりまでシャツをたくしあげられると、胸元があらわになる。
思わず首をすくめた。
「本当にもうやめろって。女じゃないんだから、俺の胸なんて触っても面白くないだろ!」
薄く綺麗についた大胸筋のやわらかな隆起を、裕翔は掌全体で何度も撫でまわす。
「ぁっ! おまえ、なにしてっ…っ」
まるでヒカのチクビが、掌に引っかかるまで変化するのを待っているようだった。
「そうかな? ヒカの胸なら触りたいって思うよ俺。おかしいのかな?」
やがて、なめらかな肌の上で存在を主張し始めた小さな肉芽を、裕翔は指の腹でそっと撫でる。
「っ……っん!」
かろうじて唇を噛んで声を殺したが、ビクンと身体が跳ねるのは止められなかった。
え?
今のなに?
そんなところ、どうして感じるんだ?
俺、女じゃないのに。
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ねね子(プロフ) - しろくまさん» 最初から読み返してもらったなんて嬉しいけど恐縮。ありがとうございます! 誤字脱字などすでに色々直したい所が山盛りなのに放置してるの恥ずかしい(笑)次回作のオメガ光くん、色々と萌えを練り込みながら楽しんで書けたらなと思ってますo(^-^) (2019年3月18日 23時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - 藍さん» こちらでもありがとうございます。後日談もすごく書きたいのですが、まずはジゴロを終わらせないとですね(汗)でもありがとうございます。藍さんの作品も今読ませてもらいましたよ♪作品、頑張って下さいね(@^▽^@)/ (2019年3月18日 23時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ねね子さま、完結おめでとうございます。最初から読み返してやはりねね子さまのやぶひか最高…と悶えています。ゆと君も可愛かった…。甘くて苦い、初恋にふさわしい素敵なお話でした。いつもながらありがとうございます。新連載も楽しみにしています(#^.^#) (2019年3月18日 19時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 初コメ失礼します!まず、完結おめでとうございます。作中ずっとニヤニヤしながら読ませていただきました。(後日談みたいな、続編も見てみたいなんて……)これからも執筆頑張って下さい♪ (2019年3月18日 8時) (レス) id: df207c3009 (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございます(*^▽^*)/ このあとはピッチを上げて、ラストまで突っ走ります。でもそろそろ新しいお話書きたくなってるけど、最後まで頑張りますね(笑 (2019年1月23日 14時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねね子 | 作成日時:2018年11月9日 23時