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※ 軽い裏表現あります。ご注意下さい。
たった一回のキスだけで、心臓がバクバクとわめき散らす。
本当にごめん…ヒカ。
だって、だって…俺が先に薮を好きだったんだ。
もちろんヒカには悪いと思ってるけど、このキスが最初で最後だから。
光は意を決したように両手を薮の首にまわして襟足に指を差し入れ、巧みなキスに夢中で応える。
「ん…っ…ぅ。や、ぶぅ……っ」
ややあって、胸元に冷気が触れたことで、ハッと我に返った。
気がついたら、白いエプロンの肩紐が落ちて、ブラウスがはだけられている。
「え? なに…どうして?」
いつの間にボタンを外されたのか、巧みなキスのせいでまったく気づかなかった。
薮の唇が、今度はシャープな顎のラインを舐めながら、喉仏まで降りてくる。
そのまま鎖骨を舐めて胸元にまでたどり着いた唇は、胸の上に色づく飾りを予告もなくペロリと舐めあげた。
「ぁッ…! やだっ…!」
突然のことに驚いて、光の腰がビクンと跳ねて浮きあがって落ちた。
こんなこと、信じられない。
「やぶっ。どう…して? こんなっ」
光自身、こんな事までを望んだわけじゃなかった。
「おまえ、結構感じやすいのな? それに、チクビ立ってる」
言うが早いか、薮は紅い尖りを口に含み、ちゅっと吸いあげる。
「あ…ん。だめっ…だ」
ゾクッと肌が快感にざわめいて、いたたまれない。
尖らせた舌にチクビの周りをクルクルと意地悪く舐められると、光のものが首をもたげ始めた。
やだっ!
……どうしうよう。
すごく感じる。
男にチクビを舐められて気持ちいいなんて、俺ってどっかおかしい?
異常なのかな?
「腰が揺れてるぞ。なぁ、観念して気持ちいいって言えよ、光」
薮が自分を「光」と呼んだことに、今ようやく気がついた。
「え?」
まさか…?
「薮、おまえ……俺のこと、気づいてるのか?」
血の気が引く。
「あぁ、そりゃあな。いくら他は騙せても、俺を騙すのは無理だってわかるだろう?」
あっさりと肯定されて肝が冷える。
「は? な…んだよ、それ。いつ、から?」
「最初からに決まってる。俺が光を見間違えるはず、ないだろう?」
なんだか悔しくて情けなくて、涙が出てきた。
薮に光だとバレていたのに、あんなポーズをとらされたりセリフを言ったことが、今さら恥ずかしくてしょうがない。
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ねね子(プロフ) - しろくまさん» 最初から読み返してもらったなんて嬉しいけど恐縮。ありがとうございます! 誤字脱字などすでに色々直したい所が山盛りなのに放置してるの恥ずかしい(笑)次回作のオメガ光くん、色々と萌えを練り込みながら楽しんで書けたらなと思ってますo(^-^) (2019年3月18日 23時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - 藍さん» こちらでもありがとうございます。後日談もすごく書きたいのですが、まずはジゴロを終わらせないとですね(汗)でもありがとうございます。藍さんの作品も今読ませてもらいましたよ♪作品、頑張って下さいね(@^▽^@)/ (2019年3月18日 23時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ねね子さま、完結おめでとうございます。最初から読み返してやはりねね子さまのやぶひか最高…と悶えています。ゆと君も可愛かった…。甘くて苦い、初恋にふさわしい素敵なお話でした。いつもながらありがとうございます。新連載も楽しみにしています(#^.^#) (2019年3月18日 19時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 初コメ失礼します!まず、完結おめでとうございます。作中ずっとニヤニヤしながら読ませていただきました。(後日談みたいな、続編も見てみたいなんて……)これからも執筆頑張って下さい♪ (2019年3月18日 8時) (レス) id: df207c3009 (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございます(*^▽^*)/ このあとはピッチを上げて、ラストまで突っ走ります。でもそろそろ新しいお話書きたくなってるけど、最後まで頑張りますね(笑 (2019年1月23日 14時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねね子 | 作成日時:2018年11月9日 23時