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知らないうちに､眉間に深い溝を寄せていたらしい。
「薮っ…っ」
でも、こんな形でするキスなんて望んだ形じゃないから、きっと切ないだけだ。
そうとわかっていても、光はあえて思い直す。
そうだ。
ある意味、これはチャンスかもしれない。
薮はヒカを好きなんだから、たとえヒカだと勘違いされていても、薮にキスをしてもらえるなら嬉しい。
そう思ったズルさに吐き気がしたけれど､光は観念したように静かに目を閉じた。
身代わりでもいい。
一度だけ、薮にキスして欲しかった。
それは光が小学六年生の冬のこと、成長していろんな事が見えてくるこの時期、子供の世界は少し残酷な様相を見せるようになる。
薮の家が裕福で、ベンツが三台あるとかメイドがいるとか、そんな事がわかってくると、クラスの中で、周囲が少しずつ薮を遠巻きにし始めた。
それは嫉みといった感情で構成されていて､時に子供は正直で怖い。
唯一、光だけは薮と変わりなく接していたが、そんな同級生の態度は徐々にエスカレートしていった。
ある台風の朝、クラスの連絡網で学校が休みだという電話が、薮にだけ届かなかった。
おかしいと思った薮自身が、直接うかがいの電話を光に入れたからよかったが、この状況を、光はどうしても黙って見ていられなかった。
台風一過の翌朝、ホームルームが始まる前に教壇に立った光は、声を張りあげた。
どうして薮に休校の連絡をしなかったのか。
全員で薮を無視するのか。
正義感の強い光は、子供ながらにそんな理不尽な態度が我慢できなかったからだ。
「なぁ聞けよ！ みんなはさ、自分で親を選べんのか？ 子供がさ、どの親の家に産まれたいって選べんのかよ。そんなの無理だろ？」
光の声は揺るぎない。
「薮だって好きで金持ちの家に生まれたわけじゃないんだ。こいつがどうしょうもなく性格が悪いとかならわかるけどさ、違うだろ？ 誰か薮に意地悪されたことあるか？ ないだろう？ なら、無視するとか、幼稚なガキみたいな事やめろよ！」
言いたいことだけを言ったあと、光はズカズカと歩いて自分の席に座った。
あとのことは、あまり考えていなかった。
放課後、掃除当番だった光を、下駄箱で薮が待っていた。
「なぁ光、おまえやっぱいい奴だよな。顔は女みたいだけどさ。性格は男らしいっての？ なぁ、おまえ勉強できないから、俺が見てやろうか？」
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ねね子(プロフ) - しろくまさん» 最初から読み返してもらったなんて嬉しいけど恐縮。ありがとうございます！ 誤字脱字などすでに色々直したい所が山盛りなのに放置してるの恥ずかしい（笑）次回作のオメガ光くん、色々と萌えを練り込みながら楽しんで書けたらなと思ってますo(^-^) (2019年3月18日 23時) (
レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - 藍さん» こちらでもありがとうございます。後日談もすごく書きたいのですが、まずはジゴロを終わらせないとですね（汗）でもありがとうございます。藍さんの作品も今読ませてもらいましたよ♪作品、頑張って下さいね(@^▽^@)／ (2019年3月18日 23時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ねね子さま、完結おめでとうございます。最初から読み返してやはりねね子さまのやぶひか最高…と悶えています。ゆと君も可愛かった…。甘くて苦い、初恋にふさわしい素敵なお話でした。いつもながらありがとうございます。新連載も楽しみにしています(#^.^#) (2019年3月18日 19時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 初コメ失礼します！まず、完結おめでとうございます。作中ずっとニヤニヤしながら読ませていただきました。（後日談みたいな、続編も見てみたいなんて……）これからも執筆頑張って下さい♪ (2019年3月18日 8時) (レス) id: df207c3009 (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございます(*^▽^*)／ このあとはピッチを上げて、ラストまで突っ走ります。でもそろそろ新しいお話書きたくなってるけど、最後まで頑張りますね（笑 (2019年1月23日 14時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねね子 | 作成日時：2018年11月9日 23時
