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司会者の声で私たちはステージに歩き出す。以外とステージ立てば平気かも…!そう思った矢先。
出入り口のところに天元と杏寿郎が並んで立っているのが見えた。天元は私に手を振っているが、杏寿郎は難しいような寂しいような顔でこっちを見ていた。
音楽が流れ出し、とりあえずフラダンスに集中する。練習に苦戦した毎日だが、梅ちゃん達と過ごした時間が頭に過ぎりこうしてステージに高校三年生の梅ちゃん達と立つのは最後だと思うと自然と口角が上がって楽しくなって来た。
頭のてっぺんから足先まで神経を研ぎ澄まし音楽に合わせて動く。
曲が終わってみんなでお辞儀をして捌けるとステージ裏で梅ちゃん達が泣いていた。
A「梅ちゃん、皆、誘ってくれてありがとう。練習ですごく足引っ張ったのに優しく教えてくれて嬉しかったし、みんなとステージに立てて楽しかった!」
梅「ほぼ無理に誘ったのに参加してくれてこっちこそありがとうだよ!高校最後の文化祭楽しかった!桜木A先生に出会えてマジでよかった!ね!皆で衣装のまま写真撮ろうよ!」
梅ちゃんの提案で写真をいっぱい撮って、私も学生に戻った気分だった。
衣装のまま準備室に戻っていると色んな生徒や教員から声をかけてもらい写真を撮ったりした。
ようやく着いた準備室の入り口のところに居るのが誰かなんてすぐに分かった。
素通りしたくてもドアのところに居るもんだから素通りが出来ない。困ったなと思っていたら向こうが先に口を開いた。
煉「A...」
A「え、あ、お疲れ様です。すいません、ちょっと退いてもらってもいいですかね?着替えなきゃならないので…」
目も合わせず言うことしか出来ない。
煉「あぁ、そうだな。すまない」
杏寿郎が退いてくれたので、
部屋に入り鍵を閉めて着替える。
もう居ないかなと思い少し時間を置いて出るとまだそこには杏寿郎が立っていた。
A「お疲れ様です。」
私が杏寿郎の前を通った瞬間、
杏寿郎の手が私の手を掴んだ。
煉「待っては…くれぬか…。少し…話がしたいんだ…。」
杏寿郎を見ると切なそうに笑って
私を見ていた。
A「ここじゃアレですし…。」
2人で人気のない外にあり教室や廊下からは見えない非常階段に来て2人ともとりあえず腰かけた。
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作者名:えぬ | 作成日時:2020年12月5日 18時