○ ページ15
ダクトで移動していると、オスマンの部屋当たりでまた女の子と鉢合わせた。
女の子は相変わらず無表情で俺の顔を見る。
俺は純粋な疑問をぶつけてみる。
「お前誰なん?観光客?」
そう聞くと、女の子は俺から目を外して下を観た。
グルッペンとオスマンがお茶会とやらをしている。
いつの日か大先生が女は甘いものが好きだと言っていたのを思い出した。
もしかしてと思って聞いてみる。
「…食べたいん?」
すると女の子は少し考えてから、おずおずと首を立てに振った。
初めて反応してくれた事に嬉しくなって、オスマンとグルッペンのところへ貰いに行った。
「グルッペン!オスマン!」
「ん?」
「どうしたんゾム」
ケーキを頬張るグルッペンと、紅茶を飲むオスマン
「ケーキちょっと頂戴や!」
「ええよ、好きなん取っていき」
「あざーす!!」
一口サイズのケーキをいくつか皿に盛っていく。
小さなフォークを一つ取って、二人に手を振って上に戻った。
「グルッペンとオスマンがいいよって!!良かったな!」
皿とフォークを渡すと、恐る恐ると言った感じに、一口サイズのケーキを小さく切って食べる。
表情は相変わらず変わらへんけど、すげえ花が舞ってる。
「美味いやろ!!それうちのコックさんが作ってんねん!また作ってもらうな!!」
そう言うと女の子笑った。
その笑顔に驚いていると、女の子は目にも止まらぬ速さでどこかへ行ってしまう。
「…はっや…」
次の日、俺の部屋の前に、皿とフォークがキレイになって置かれていた。
その上には歪んだ字でありがとうと書かれてる。
元々、ケーキはお礼がしたかったからなのに、逆にお礼されてるし
大先生のこともやけど、多分チーノの件もきっと助けてくれたんちゃうかって思ってる。
「ありがとうは、こっちのセリフやで」
後ろの気配が、フッと消えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
#私があめです(プロフ) - 夢主ちゃんに感情移入しちゃって胸が苦しい……更新応援してます！ (2020年8月21日 23時) (
レス) id: ab2c2384be (このIDを非表示/違反報告)
すいれん - そっかぁ...忘れられちゃってるのかぁ...あれ？目から塩水が... (2020年8月1日 23時) (レス) id: 94909bedb8 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - ・ちょこみんとさん» 神だなんて、ソコまで評価していただいてとても嬉しいです。この作品がもっと好きになれるよう、私も頑張って文才を絞り出しますので、よろしくおねがいします！更新がんばります！応援ありがとう御座います！！それでは！ (2020年7月30日 14時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
・ちょこみんと - 今更この神作品を見つけて一気見させて頂きました。第一章は感動で目から塩水が溢れ出ました。第二章はとてもホワホワしながら読ませて頂いています！神作を作り出してくれてありがとうございます！大好きです！これからも更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月30日 13時) (レス) id: c2be3e9c79 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - あーる@さん» 大好きなんて…！ありがとう御座います！！めっちゃ嬉しいです！！さらっと読まれてる…！！お主やりおるな…！！これからもがんばります！！ (2020年7月26日 17時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年7月23日 14時
