○ ページ13
「チーノ」
薄暗い地下牢に声が響いた。
両手を枷で繋がれ、身動きが取れないなか、顔だけ上げて声の主を見る。
また笑って
「ああ、大先生」
処刑だろうか、もう地下牢に入って一週間、情報はもうさっさと吐いた。
痛いのも苦しいのも嫌だから
今度は何だろうか、処刑か、α国に偽の情報を流せとか…俺はそっちのほうがいいな
もう一度、笑いたい
ガチャり、鍵の開く音が聞こえた。
「…え」
大先生は俺の頭を雑に撫でた。
ガシガシと荒い手使いは、心地よくて、不意にポロっと涙が溢れた。
「よう頑張った。」
そう言って笑って、俺の枷を外し手を引いた。
俺は啞然とついていくしかなくて、ついていった先は、幹部全員が揃った総統室
大先生は笑って俺の背中を押した。
その笑顔は、偽物じゃない
俺にはわかる
グルッペンさんの前に立った俺に、他のメンバーの視線が刺さる。
でも、痛くない。
「チーノ」
低い声で呼ばれて、焦って顔を上げると、グルッペンさんはも、笑って言った。
「改めて言おう。
我が軍に入り、共に国を支えないか」
っ＿＿＿＿＿＿＿＿
俺は言葉を失った。
なぜ、こんなことが言える、自分を一度でも殺そうとした相手に
何故
「俺はチーノ、お前にめんつゆぶっかまされたこと忘れてへんからな!!
そのまま逃げるとか許さへん!!」
腕を組んで笑うコネシマさん
「お前弱いからな!俺らがおらんかったらすぐ死んでまうやろ!!ぷーくすくす!」
小馬鹿にするような顔で言ってくるシャオさん
「軍団が俺と大先生だけになったらコネシマさんから借りた金返す分増えるじゃないッスか
それに、チーノさんがおらんなったらめんどくさくなる方々がおるんで」
ショッピ君は面々を見る。
顔をそむける人、苦笑いを浮かべる人
俺は必要とされているのか
俺はここに居ていいのか
「おれ…ここにおってええの…?」
ぼやける目を凝らして、言葉を待つ
体に衝撃が来ると同時に、頭に温もりが乗った。
「ええに決まっとるやろぉぉ!!」
「オラオラオラ!さっさと泣くんだよぉ!!」
鼻を啜ってグズグズ泣く大先生に抱きつかれ、元気に笑うゾムさんに頭をめいいっぱい撫でられる。
俺は我慢できなくて、泣いてしまった。
幼い頃から、褒められることもなければ、人に撫でられることも無かった俺に
教えてくれたこの人達に、ついて行ける。
神様は、俺を見捨てないでいてくれた。
視界の端で、黒髪の少女が嬉しそうに微笑んでいた。
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#私があめです(プロフ) - 夢主ちゃんに感情移入しちゃって胸が苦しい……更新応援してます！ (2020年8月21日 23時) (
レス) id: ab2c2384be (このIDを非表示/違反報告)
すいれん - そっかぁ...忘れられちゃってるのかぁ...あれ？目から塩水が... (2020年8月1日 23時) (レス) id: 94909bedb8 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - ・ちょこみんとさん» 神だなんて、ソコまで評価していただいてとても嬉しいです。この作品がもっと好きになれるよう、私も頑張って文才を絞り出しますので、よろしくおねがいします！更新がんばります！応援ありがとう御座います！！それでは！ (2020年7月30日 14時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
・ちょこみんと - 今更この神作品を見つけて一気見させて頂きました。第一章は感動で目から塩水が溢れ出ました。第二章はとてもホワホワしながら読ませて頂いています！神作を作り出してくれてありがとうございます！大好きです！これからも更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月30日 13時) (レス) id: c2be3e9c79 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - あーる@さん» 大好きなんて…！ありがとう御座います！！めっちゃ嬉しいです！！さらっと読まれてる…！！お主やりおるな…！！これからもがんばります！！ (2020年7月26日 17時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年7月23日 14時
